共同演者 |
安武 努(佐賀大学 医学部 内科), 有尾 啓介(佐賀大学 医学部 内科), 水田 敏彦(佐賀大学 医学部 内科), 重松 宏尚(佐賀県立病院好生館), 川添 聖治(佐賀県立病院好生館), 熊谷 貴文(佐賀大学 医学部 内科), 江口 有一郎(佐賀大学 医学部 内科), 尾崎 岩太(佐賀大学 医学部 内科), 藤本 一真(佐賀大学 医学部 内科) |
抄録 |
【はじめに】わが国におけるC型慢性肝炎のgenotypeは1b, 2a, 2bがほとんどであり、その他のタイプは稀である。今回我々は3aの2症例を経験したので報告する。【症例1】38歳男性、血友病Aにて幼少時より凝固因子の注射歴および輸血歴あり。数年前より肝機能異常を指摘され、HCV陽性と判明。肝機能異常が持続するため、IFN導入目的にて入院。PLT 18万 /μl, AST 39 IU/l, ALT 66 IU/l, HCVRNAは210 KIU/ml, genotype 3a(serogroupは1型と判定)であった。2006年1月7日よりPeg-IFNα-2b 100μg週1回皮下注、ribavirin 800mg/日内服開始。2週目にハイレンジ法による定量で感度以下となり、4週目に定性検査で陰性化した。現在治療継続中である。【症例2】31歳男性、血友病Aで幼少時より凝固因子の注射歴および輸血歴あり。肝障害指摘され、IFN治療目的にて入院。PLT 17.2万 /μl, AST 20 IU/l, ALT 35 IU/l, HBs抗原(+) HBV-DNA <3.7LGE/ml, HCVRNA 210KIU/ml, genotype 3a。2005年5月よりPeg-IFNα-2a 180 μg週1回にて治療開始。4週目にHCVRNA陰性化し、その後、血小板、好中球減少のため減量休薬等を繰り返しながら2005年10月まで継続したが、社会的事情により中止。中止後3ヶ月目でのHCVRNA陰性を確認した。【考察】genotype 3aは東南アジア起源とされ、その後主に静脈注射にて欧米諸国に広まったといわれる。今回の症例は2例とも血友病であり、欧米由来の血液凝固製剤による感染によるものと考えられる。3型に対するIFNの効果は2型と同程度といわれており、本症例も開始後4週でウイルス陰性化が得られ、IFN感受性は高いと判断される。我が国でも、今後覚醒剤乱用などによる欧米型ウイルスの蔓延も危惧されるため、貴重な症例と考え報告する。 |