セッション情報 一般演題

タイトル 125:

腹部膿瘍を併発したCrohn病(大腸型)に対し感染をコントロール後、インフリキシマブを使用した1例 九州厚生年金病院 内科 土倉潤一郎 五島寛 山下信行 長野政則

演者 土倉 潤一郎(九州厚生年金病院 内科)
共同演者 五島 寛(九州厚生年金病院 内科), 山下 信行(九州厚生年金病院 内科), 長野 政則(九州厚生年金病院 内科)
抄録 Crohn病の悪化、腹腔内膿瘍併発に対し、抗生剤による膿瘍改善後にインフリキシマブが奏効した1例を経験した。【症例】34歳男性。2003年12月、発熱、下血にて発症し、大腸型Crohn病と診断された。その後、メサラジン、メトロニダゾール、エレンタールにて軽快していた。2005年2月、注腸造影検査後に増悪し入院。プレドニゾロンにて加療し軽快退院した。その後は経過良好であった。同年10月頃より左側腹部痛が出現し、徐々に増悪していた。11月10日、発熱のため当院来院。体温38.3℃、左下腹部に圧痛を伴う硬結を触れた。WBC 11500/μl (Neut 82.1%)、CRP 7.66mg/dl、CTで下行結腸の一部に炎症の所見あり、その近傍に後腹膜膿瘍を認めた。膿瘍に対してはCMZ2g/日、ドレナージにて加療開始。排液の減少とともに速やかに発熱、炎症反応は改善。ドレナージ造影で腸管への漏出がないことを確認後、ドレーンを抜去し、抗生剤中止した。しかし、その3日後に再び発熱、炎症反応上昇を認めた。膿瘍の残存が原因であった。その後、ABPC/SBT 6g/日にて加療開始。第36病日目、CTで膿瘍消失を確認後、腸管炎症に対し、インフリキシマブ3回投与を施行。著明な改善を認めた。抗生剤中止にても再発はなく、緩解後の注腸造影でも高度狭窄は認めなかった。【考察】山口らによれば、膿瘍併発例の大多数は中等度以上の腸管狭窄ないし瘻孔を伴い、経過中約80%は手術となっているが、本症例では高度狭窄は認めなかった。今後手術が必要になる可能性もあり、慎重なフォローが必要である。【結語】膿瘍コントロール後のクローン病に対してインフリキシマブが有効な一例を報告した。
索引用語 クローン病, 腹腔内膿瘍