セッション情報 一般演題

タイトル 103:

嚢胞様形態を呈する回腸gastrointestinal stromal tumor(GIST)の一例

演者 田尻 豊和(公立学校共済組合 九州中央病院)
共同演者 中村 俊彦(公立学校共済組合 九州中央病院), 斎藤 元吉(公立学校共済組合 九州中央病院), 中守 真理(公立学校共済組合 九州中央病院), 梶谷 桂子(公立学校共済組合 九州中央病院), 庄司 哲也(医療法人 貝塚病院), 長谷川 博文(公立学校共済組合 九州中央病院), 住吉 康平(公立学校共済組合 九州中央病院), 定永 倫明(九州大学 消化器総合外科), 北村 薫(公立学校共済組合 九州中央病院), 北村 昌之(公立学校共済組合 九州中央病院)
抄録 【症例】59歳男性。主訴は腹痛。現病歴は2003年9月10日、左下腹部痛あり当院内科外来を受診。腹部単純X線にて小腸ガスを認めたため、腹部CT、エコーを施行したところ回盲部に径3cmの嚢胞性腫瘤を認めた。その後精査を行う予定であったが、症状がないためその後通院をされていなかった。2005年10月11日より右側腹部痛が出現し内科受診。右下腹部に弾性硬な腫瘤を触知し、血液検査にて炎症所見を認めた。CTにて回腸に、前回と同様の部位に径8cmの嚢胞性腫瘤があり、精査目的に当院内科入院。触診上、腫瘤は腹腔内を臍の上下、左右へと移動し、可動性が認められた。小腸透視及び大腸透視にて回盲部より約40cm口側に腸管壁の圧迫像認め管外発育型の粘膜下腫瘍と考えられた。疼痛および腫瘤増大傾向があり、悪性腫瘍も否定できず手術適応と考えられたため外科に転科し11月4日腫瘤を含めた回腸切除術を行った。腫瘤は径8.5×8.0×6.0cmで回盲部より50cm口側に、腸間膜反対側の回腸壁に存在した。腫瘤内容物は血性であり、割面では隔壁や壁肥厚は認められなかった。回腸粘膜や、周辺組織への浸潤は認められなかった。病理組織学的診断はc-kit陽性のGISTで、核分裂像はほとんど認められなかった。術後合併症なく経過し、退院後は定期的に外来にて経過観察しているが約6ヶ月経過した現在も再発徴候は認められていない。【考察】術前、画像所見より腫瘤は血管腫、粘液嚢胞腺腫、リンパ管腫等、回腸の粘膜下腫瘍と考えられたが腸間膜腫瘍の可能性も否定できず診断に苦慮した。GISTの中心壊死は時折経験されるが小腸にて嚢胞様形態を呈するGISTは比較的稀で、他の腫瘍との鑑別が必要となってくる。今回、我々が経験した一例を文献的考察を加えて報告する。
索引用語 嚢胞性腫瘤, 小腸原発GIST