セッション情報 一般演題

タイトル 155:

無症候性Phlebosclerotic colitisの1例

演者 松尾 静香(福岡大学 筑紫病院 消化器科)
共同演者 平井 郁仁(福岡大学 筑紫病院 消化器科), 西俣 伸亮(福岡大学 筑紫病院 消化器科), 高木  靖寛(福岡大学 筑紫病院 消化器科), 松井 敏幸(福岡大学 筑紫病院 消化器科), 池田 圭祐(福岡大学 筑紫病院 病理部), 岩下 明徳(福岡大学 筑紫病院 病理部)
抄録 症例は70歳代の男性。健診で便潜血陽性を指摘され、平成17年10月29日に近医受診。注腸X線検査で下行結腸に有茎性ポリープを指摘され、11月5日内視鏡的加療目的で当科紹介となった。外来で施行した下部消化管内視鏡検査で盲腸,上行結腸,下行結腸にポリープを認める他、盲腸から脾彎曲部にかけて粘膜は暗赤色調を呈し、一部ハウストラの肥厚,伸展不良所見を認めた。また、腹部単純X線で一部,母指圧痕像様の所見、注腸X線検査で上行結腸から横行結腸にかけて、軽度の伸展不良とわずかな管腔の狭小化を認め、形態的にはPhlebosclerotic colitisに矛盾しない所見であった。病理組織学的検査では、粘膜および粘膜下層の血管壁の線維性肥厚,粘膜内の静脈周囲に膠原線維の沈着を認め、Phlebosclerotic colitisと確定診断した。12月9日当科入院の上、上行結腸の径12mm,Ispポリープ、S状結腸の径15mm,Ipポリープに対して内視鏡的ポリープ摘除術施行。術後合併症なく、翌日退院となった。本疾患は通常、腹痛や血便を伴い、重症例では外科的手術を要する。一方、比較的軽症例も散見されるが、本例の如き、無症候の例は稀である。原因としては、腸管内刺激物質や生活環境因子,遺伝因子,門脈圧亢進,膠原病などとの関連が報告されているが、いまだ解明されていない。病歴聴取により、本症例では約20年間の漢方薬(ツムラ辛夷清肺湯エキス顆粒)内服歴があり、Phlebosclerotic colitisとの関連が疑われた。現在、便通コントロールを行い、外来通院にて定期的経過観察中である。今回、われわれは便潜血陽性を契機にして発見された無症候性のPhlebosclerotic colitisの1例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 Phlebosclerotic colitis, 便潜血