セッション情報 一般演題

タイトル 160:

拒食症、統合失調症の治療経過中に非アルコール性脂肪肝炎を合併した1例

演者 田ノ上 史郎(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学)
共同演者 橋元 慎一(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 重信 秀峰(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 小原 一憲(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 山崎 成博(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 有馬 卓志(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 長谷川 将(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 桶谷 真(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 坪内 博仁(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学)
抄録 【症例】39歳の男性。平成13年頃より統合失調症の診断にて、当院精神科に通院、リスペリドン、ハロペリドールなどの抗精神病薬を内服していた。平成15年頃より肝機能障害がみられ、肝庇護薬を処方されていた。平成17年8月1日に肝機能障害の精査目的で当科外来を受診、腹部超音波検査にて高度脂肪肝をみとめ、11月22日に当科入院となった。入院時現症は身長159 cm、体重104 kgで 19歳から20年間で60 kg、特に最近3年間で20 kgの体重増加があった。飲酒歴、喫煙歴はなし。検査所見はAST 71 IU/L、ALT 116 IU/L、ALP 499 IU/l、γ-GTP 122 IU/lと上昇し、フェリチン239 ng/ml、4型コラーゲン398 ng/ml、T-cho 207 mg/dl、TG 219 mg/dlで FBS、HbA1c、末梢血には異常がなかった。 HBs抗原(-)、HCV抗体(-)であった。75g OGTTでは糖尿病型であり、インスリン感受性テストではインスリン抵抗性をみとめた。腹部CTではびまん性の脂肪肝と左葉腫大をみとめ、L/S比 0.65 脂肪比(内臓脂肪/皮下脂肪)0.48であった。11月24日に肝生検施行、中~大滴性脂肪滴を主とする脂肪性変化、肝細胞の風船状変性、類洞周囲線維化をみとめ非アルコール性脂肪肝炎(NASH)と診断した。入院後より1600 kcalの食事療法とシャトルウォーキングテストによる運動療法を施行、入院後3週間で6 kgの体重減少がみられた。糖尿病に対してはα-GI治療開始した。3ヵ月後の外来受診時の肝機能検査ではAST 38 IU/L、ALT 66 IU/L、γ-GTP 49 IU/lと改善をみとめた。【考案】精神科疾患においてはメタボリックシンドロームの合併が多く、その成因としては生活習慣に加え、疾患自体の関与、抗精神病薬の直接作用または体重増加作用により耐糖能障害や高脂血症が生じることなどが考えられる。本症例のように精神科疾患を背景に肥満、肝機能障害をみとめた場合、NASHも積極的に疑う必要がある。
索引用語 非アルコール性脂肪肝炎, 成因