セッション情報 シンポジウム1

タイトル S1-001:

早期胃癌の拡大適応病変および完全適応外病変に対するESDの治療成績

演者 永井 敬之(大分県厚生連鶴見病院 消化器科)
共同演者 小野 英樹(大分県厚生連鶴見病院 消化器科), 内田 正広(大分県厚生連鶴見病院 消化器科), 阿南 重郎(大分県厚生連鶴見病院 消化器科), 安部 高志(大分県厚生連鶴見病院 消化器科), 大河原 均(大分県厚生連鶴見病院 消化器科), 村上 和成(大分大学 医学部 消化器内科), 藤岡 利生(大分大学 医学部 消化器内科)
抄録 【目的】当院では2004年4月より内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を導入した。胃腫瘍性病変に対して2年間で80例施行したが、現時点での早期胃癌に対する治療成績についてガイドライン適応病変・適応拡大病変・適応外病変に分類して検討した。【方法】対象は2006年3月までに当院にてESDを施行した早期胃癌54例。ESDはニードルナイフとフックナイフを使用し、高周波はVIO 300D、スコープはOlympus GIF Q240Zを主に使用し、2006年1月よりM scopeを使用した。【成績】早期胃癌54例のうち、適応病変は30例, 適応拡大病変は, A : Ul(-)分化型粘膜内癌2cm以上:8例, B : Ul(+)分化型粘膜内癌3cm以下:7例, C : 分化型sm1癌3cm以下:5例, D : Ul(-)未分化型粘膜内癌2cm以下:症例なし, 完全適応外病変は4例であった。腫瘍長径中央値(範囲):適応病変10.2×8.0 (5-20) mm, 拡大病変 A : 46.1×34.1 (25-90) mm, B : 13.1×9.4 (6-22) mm , C : 8.8×6.4 (4-10) mm, 適応外病変 21.5×16.5 (10-35) mm。切除標本長径中央値(範囲):適応病変17.9×14.3 (8-35) mm, 拡大病変 A : 56.7×44.1 (28-100) mm, B : 21.9×17.1 (15-35) mm , C : 17×15.4 (8-22) mm, 適応外病変 25.3×20.7 (15-40) mm。所要時間中央値(範囲):適応病変 99 (35-240)分, 拡大病変A : 205 (128-400)分, B : 125 (39-210)分, C : 99 (79-122)分,適応外病変 140 (90-279)分。一括切除率:適応病変93.3%(28/30), 拡大病変 A : 62.5%(5/8), B : 85.7% (6/7), C : 80% (4/5), 適応外病変 75% (3/4)。完全一括切除率:適応病変86.6%(26/30), 適応拡大病変 A : 50% (4/8), B : 85.7% (6/7), C : 80% (4/5), 適応外病変 25% (1/4)。偶発症は穿孔を適応外病変で1例、再出血を適応病変で1例認めた。【結論】腫瘍径が大きい適応拡大病変の一括完全切除率が低かった。切除率が低下した理由は術中出血や、切除時間が長くなることによって鎮静が保てなくなりスネアリングを余儀なくされたことが挙げられる。
索引用語 ESD, 胃癌