セッション情報 一般演題

タイトル 66:

内視鏡下に留置した胆管ステントの脱落により、胆道穿孔をきたした1例

演者 清水 輝久(佐世保中央病院 外科)
共同演者 重政  有(佐世保中央病院 外科), 蒲原 涼太郎(佐世保中央病院 外科), 梶原 啓司(佐世保中央病院 外科), 碇  秀樹(佐世保中央病院 外科), 菅村 洋治(佐世保中央病院 外科), 國崎 忠臣(佐世保中央病院 外科), 川尻 真也(消化器内視鏡科), 松村 雅人(消化器内視鏡科), 佐伯 哲(消化器内視鏡科), 木下 昇(消化器内視鏡科), 米満 伸久(病理部)
抄録  症例は69歳男性。主訴は右季肋部痛、発熱、黄疸。既往歴:高血圧症(H9~)現病歴:2005年11月初めより全身倦怠感、右季肋部痛、発熱が出現。11月8日近医で採血をうけ、閉塞性黄疸の診断で精査加療のため、9日紹介入院。入院時血液検査は、軽度貧血あり、白血球14000、CRP18.9、TP 7.3、GOT121、GPT194、T-Bil 15.0、ALP1278、γGTP627と高度炎症と胆道系の閉塞性パターンを認めた。また腫瘍マーカーは、CEA 21.14、DUPAN-2 322と高値であった。腹部CT、ECHOで膵頭部に径4cm大の腫瘍が存在し、同日夕ERCP施行し、8.5Fr ERBDチューブを留置した。総胆管は5cm長に狭窄を呈し、腫瘤のため偏位していた。その後、減黄効果不良で黄疸改善されず、16日ERBDチューブを交換。その際バスケット鉗子で総胆管上部から掻破すると、小結石、粘液、debrisなど多様な内容物が排泄された。その後60mmX8mmのcoverd stentを挿入留置した。同時期に、左耳介後部に存在した黒色腫瘤から出血があるため、12月2日切除したところ、有棘細胞癌の病理診断であった。その後も黄疸遷延(12月22日T-Bil 17.6)のため、12月28日ERCP再検したところ、coverd stentは脱落しており、総胆管から腹腔内への造影剤漏出を認め、出血性胃潰瘍も認めた。29日coverd stentの再留置を試みるも、総胆管から腹腔内への造影剤の漏れが大きく、緊急手術の適応となった。開腹すると、腹腔内に胆汁が充満した胆汁性腹膜炎で、膵頭部腫瘍の切除は断念し、胆管穿孔部から膵頭部腫瘍の内容物を可能な限り採取し、胆管切除、胆管空腸吻合術を施行。膵頭部腫瘍の内容物は透明粘液状で、細胞診はClassIIIで、Mucinous neoplasiaであった。切除胆管には穿孔による潰瘍がみられるのみであった。術後出血性胃潰瘍の増悪をみたが、保存的に軽快し、2月初めに一旦退院し、外来でフォロー中である。
索引用語 胆道穿孔, 胆管ステント