セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 60:興味ある発育形態を示し術前診断に苦慮した多発胆嚢癌の1例 |
演者 | 冨永 哲郎(健康保険) |
共同演者 | 山口 広之(健康保険), 長谷場 仁(健康保険), 小松 英明(健康保険), 生田 安司(健康保険), 柴崎 信一(健康保険), 君野 孝二(健康保険), 飛永 晃二(健康保険), 森 洋(健康保険諫早総合病院 内科), 中島 正洋(長崎大学大学院 原研病理) |
抄録 | (目的)胆嚢および総胆管内腔に充満するように多発性の病変が発育しながらも、閉塞性黄疸を発症せず、術前診断に苦慮した胆嚢癌の1例を経験したので報告する。(症例と手術)70歳代の女性。2005年12月頃より腹痛が出現、近医を受診し胆道系酵素の上昇を認めたため、当院内科紹介入院となった。画像上、胆嚢は水腫様に腫大し、総胆管は著明に拡張しており、内腔に複数の隆起性病変を認めた。最も大きなものは、胆嚢底部の腫瘍で径5cm、総胆管内の腫瘍で径4cmであった。胆管壁内での進展範囲診断は困難であったが、壁外進展所見に乏しかったので手術を行った。(手術と結果)術中、胆嚢胆汁、胆管胆汁ともに細胞診でclass5であり、幽門輪温存膵頭十二指腸切除+D2郭清を行った。切除標本では、胆嚢底部から胆嚢管にかけて計6個の腫瘍があり、組織系はすべて中分化型管状腺癌で深達度ss、n(-)、curBの手術であった。胆嚢管より発生した腫瘍が胆嚢管を介して中下部胆管内に充満するように膨張発育していたが胆管自体には腫瘍の発生や浸潤は見られなかった。胆嚢内胆汁のアミラーゼ値は58U/Iであった。(結語)確定診断、進展度診断に非常に苦慮した多発胆嚢癌の1例を経験した。発癌機序や術式の選択などの観点からも検討を要すると思われたので報告する。 |
索引用語 | 多発胆嚢癌, 胆管内発育 |