セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸-症例報告5

タイトル 消P-460:

インフリキシマブ(IFX)による維持療法中に消化管出血を認めたクローン病の2例

演者 中野 巳三喜(岩手県立胆沢病院・内科)
共同演者 白木 学(岩手県立胆沢病院・内科), 木村 智哉(岩手県立胆沢病院・内科), 本田 純也(岩手県立胆沢病院・内科), 石山 文威(岩手県立胆沢病院・内科), 矢口 圭(岩手県立胆沢病院・内科), 萱場 尚一(岩手県立胆沢病院・内科)
抄録 クローン病の経過中、大量出血により生命予後に重大な影響を与える場合がある。クローン病消化管大量出血例に対してIFXの投与の有用性が報告されているが、長期予後についての報告は少ない。我々はIFXによる維持療法中に消化管出血を認めたクローン病の2例を経験したので報告する。[症例1]55歳、男性。[主訴]血便[現病歴]平成8年に小腸型クローン病と診断され、小腸部分切除術の既往がある。平成18年から当科でIFXによる寛解維持療法を施行していた。平成22年10月に赤色の血便を認め、入院となった。[経過]内視鏡では吻合部付近に不整形の潰瘍を認めたが、明らかな出血点は認められなかった。絶食・輸液管理としていたが血便は持続しIFXとプレドニゾロン40mg/日を投与したが血便回数が次第に増加し、第7病日に緊急手術となった。[症例2]27歳、男性[主訴]血便[現病歴]平成10年に小腸大腸型のクローン病と診断され、平成15年に大腸亜全摘・回腸部分切除術を施行されている。平成22年1月以降免疫調節薬とIFXで寛解維持療法を施行されていた。平成22年12月血便を認めたために当科受診し、入院となった。[経過]内視鏡では吻合部付近に不整形潰瘍を複数認めた。潰瘍の一つからは出血を認め、クリップで止血した。血便は持続していたが、次第に減少し、第3病日に前医に転院となった。転院後血便は認められなかった。その後IFXを投与されたが、再び血便を認め、当科に入院となった。内視鏡では直腸に小さな不整形潰瘍と吻合部付近に比較的大きな不整形潰瘍を複数認めた。現在はアダリムマブで寛解維持療法を施行している。[考察] IFX維持投与中で臨床的には寛解している状態でも、内視鏡検査では粘膜治癒が完全に得られていないことがあり、特に吻合部は血流が低下していることも考えられ、吻合部付近の粘膜治癒を確認することの重要性が示唆された。
索引用語 クローン病, インフリキシマブ