セッション情報 一般演題

タイトル 12:

短期間に形成された嵌頓胃石に対して内視鏡的治療が奏効した一例

演者 嶋田 美砂(産業医科大学 消化器・代謝内科)
共同演者 松岡 英彦(産業医科大学 消化器・代謝内科), 山崎 雅弘(産業医科大学 消化器・代謝内科), 上田 城久朗(産業医科大学 消化器・代謝内科), 成田 竜一(産業医科大学 消化器・代謝内科), 久米 恵一郎(産業医科大学 消化器・代謝内科), 木原 康之(産業医科大学 消化器・代謝内科), 芳川 一郎(産業医科大学病院 内視鏡部), 大槻 眞(産業医科大学 消化器・代謝内科)
抄録 症例は64歳、男性。55歳時に胃癌に対し胃切除術(Bil-I再建)を施行されている。C型慢性肝炎に対して加療中であった。2005年3月に施行された上部消化管内視鏡では異常は指摘されなかった。2005年12月2日ごろより嘔気、嘔吐、黒色便が出現し、症状が増悪したため12月5日夜間救急外来を受診した。腹部所見では心窩部に圧痛を認めたが、腫瘤は触知しなかった。腹部レントゲンでは異常ガスや異常石灰化は認めなかった。緊急内視鏡ではBil-I再建の吻合部に5cm大の胃石が嵌頓しており、多量の食物残渣を認め、また逆流性食道炎の合併を認めた。ワニ口鉗子を用いて嵌頓部より胃石を口側に移動させた後、鉗子やスネアで破砕を試みたが困難であった。翌日、再度内視鏡検査を施行し、ワニ口鉗子を胃石に貫通させ、食道拡張用のバルーンを挿入し拡張させることにより粉砕した。その後スネアを用いてさらに細かく粉砕した。ネット付スネアで結石を一部採取し、胃石分析を行った。その後は破砕した胃石が小腸に嵌頓することなく治癒した。胃石は半消化物質や非消化物質が集まり固まったもので、ときに消化管の嵌頓や穿孔を来たすことがあり、胃部分切除後症例や糖尿病患者に認められることが多い。柿、植物の種や毛髪などが原因となることが多いが、本症例では胃石の成分分析では原因物質は同定されなかった。しかしながら2005年3月の上部消化管内視鏡では異常所見はなく、また自宅に柿の木があり同年9月ごろよりほぼ毎日柿を1日3,4個摂取していたことから胃石の原因として柿の関与が疑われた。
索引用語 胃石, 内視鏡的治療