セッション情報 一般演題

タイトル 11:

内視鏡的に治療しえた巨大柿胃石の1例

演者 宮岡 正喜(福岡大学筑紫病院 消化器科)
共同演者 長浜 孝(福岡大学筑紫病院 消化器科), 久部 高司(福岡大学筑紫病院 消化器科), 大原 次郎(福岡大学筑紫病院 消化器科), 松井 敏幸(福岡大学筑紫病院 消化器科), 嶋津 剛典(樋口病院)
抄録 症例は65歳、男性。2005年11月末に柿狩りに行き、2~3個/日の柿を約2ヶ月間摂取。2006年1月より、腹部膨満感、心窩部痛、嘔気が出現。次第に食欲不振となり体重減少がみられたため樋口病院を受診。上部消化管内視鏡検査で巨大な胃石を認め、精査加療目的にて当科紹介入院となった。内視鏡検査では黄褐色の可動性のある巨大な胃石で、X線計測上長径23cmであった。また、PPI服用中にかかわらず、胃角から前庭部小弯に多発する活動性の潰瘍とびらんを認めた。治療は外科的摘出を考慮したが、患者の希望で内視鏡的治療を試みた。胃石は表面に硬い外殻を有し、内部はコルク硬であったことから、まず外殻をHookknifeで破砕し、内部は主に、スネア、鰐口鉗子、総胆管結石破砕バスケットを用いて砕石を行った。破砕した胃石はすべて2cm以下に砕き、可能なものは経口的に回収した。所用時間は1回2時間程度で、完全に破砕されるまでには合計7回を要した。回収した胃石の成分分析ではタンニン酸98%以上であり柿胃石と確定診断した。経過中、特に合併症は見られず、治療後腹部症状は完全に消失した。またPPIに抵抗性であった胃粘膜病変も縮小傾向となり、胃石に関連したものであったと考えられた。胃石は稀な疾患であるが、心窩部痛などの症状に加え、胃潰瘍や腸閉塞などの合併症をきたすため、何らかの方法で除去する必要がある。従来より胃石の治療は外科的治療が多く行われてきたが、近年内視鏡治療の進歩により胃石を内視鏡的に除去する報告例が増加している。今回我々は、内視鏡的に治療しえた巨大柿胃石の1例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。本症例は検索しえた内視鏡的摘出成功例のなかで最大の胃石であった。
索引用語 胃石, 破砕