セッション情報 | シンポジウム3 |
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タイトル | S3-009:NAFLD症例における脂肪酸代謝関連酵素の発現と治療による変化の検討 |
演者 | 国府島 庸之(九州大学 医学部 病態制御内科(第三内科)) |
共同演者 | 吉本 剛志(九州大学 医学部 病態制御内科(第三内科)), 森園 周祐(九州大学 医学部 病態制御内科(第三内科)), 宮城 譲(九州大学 医学部 病態制御内科(第三内科)), 福嶋 真理恵(九州大学 医学部 病態制御内科(第三内科)), 國吉 政美(九州大学 医学部 病態制御内科(第三内科)), 山下 晋作(九州大学 医学部 病態制御内科(第三内科)), 堀川 ゆき(九州大学 医学部 病態制御内科(第三内科)), 井上 佐和子(九州大学 医学部 病態制御内科(第三内科)), 加藤 正樹(九州大学 医学部 病態制御内科(第三内科)), 古藤 和浩(九州大学 医学部 病態制御内科(第三内科)), 遠城寺 宗近(九州大学 医学部 病態制御内科(第三内科)), 中牟田 誠(九州大学 医学部 病態制御内科(第三内科)), 高柳 涼一(九州大学 医学部 病態制御内科(第三内科)) |
抄録 | [目的]近年、食生活の欧米化に伴い、肥満・糖尿病患者は著しく増加してきており、アルコール非摂取者においてこれらの肥満・糖尿病等を基礎疾患として発症するnon-alcoholic steatohepatitis (NASH)が更に注目を集めている。NASHの発症機序としてはtwo hit theoryが考えられているが、肥満とインスリン抵抗性を基盤とすること以外には、その分子学的な病態は不明な点が多い。そこで、今回我々はNAFLD症例の肝生検組織を用いて、脂肪酸代謝関連酵素の発現と治療による変化、更にこれらの生化学データとの関連についての検討を行った。 [方法]2004年7月以降九州大学病院第三内科に入院したNAFLDおよびNASH症例のうち、肝生検を施行し、今回の解析に承諾を得られた症例を対象とした。脂肪肝に対する治療を行った症例で、承諾が得られた場合には治療評価の肝生検を施行した。肝生検組織よりmRNAを採取し、脂肪酸代謝関連酵素とその調節分子の発現をreal time RT-PCR 法を用いて解析した。 [結果]NAFLDにおいては、既に脂肪酸の蓄積が見られるにもかかわらず、ACC1, FAS等の脂肪酸合成酵素の発現が亢進し、ミトコンドリアへの脂肪酸取り込みに必須であるCPT1aの発現が低下していた。また、肝組織での脂肪含有量との相関を見たところ、脂肪含有量40%以上と未満の症例では、ACC1, FAS, IRS2等で有意な差が認められた。一方インスリン抵抗性の有無で比較した場合、脂肪酸代謝関連酵素の発現や生化学データに明らかな差は認められなかった。 [結語]NAFLDにおける脂肪酸代謝関連酵素とその調節分子の発現は、正常と比較し大きな変化を認めた。NASHにおいては、従来インスリン抵抗性がその病態に関与すると考えられていたが、脂肪酸代謝関連酵素の発現と血中インスリン濃度には相関がなく、NAFLDの肝脂肪化におけるインスリンシグナルの果たす役割は低いと考えられた。現在、各種アディポサイトカインとこれらの分子との関係につき検討中であり、今後はAMPKやAkt等の活性の変化を含め更なる検討が必要と考えられた。 |
索引用語 | NAFLD, 脂肪酸代謝 |