セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
119:大腸内視鏡検査が診断に有用であった急性上腸間膜動脈閉塞症の一例
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演者 |
岡田 恵一朗(佐賀市立富士大和温泉病院 消化器内科 ) |
共同演者 |
向井 伸介(佐賀市立富士大和温泉病院 消化器外科), 木須 達郎(佐賀市立富士大和温泉病院 消化器内科 ), 藤本 一眞(佐賀大学 医学部 消化器内科) |
抄録 |
症例は69歳男性。近医で慢性胃炎と心房細動を治療されていた。既往には胃潰瘍があるが、最近再発はない。2006年2月7日午前7時30分ごろ、もちを食べた後、突然の腹痛と下痢が出現したため当院を受診した。臭化ブチルスコポラミンとペンタゾシンで加療されたが、疝痛発作を伴う腹痛が持続するため、急性腹症の診断で外科に入院となった。入院時、心電図上心房細動が見られたが、血液検査、腹部単純X線検査、腹部超音波検査、腹部単純CT検査では有意な異常は認められなかった。入院後も疝痛発作を伴う腹痛が続き午後2時と午後4時に新鮮血の下血が見られたため、下部消化管出血疑いで内科に紹介された。突然発症の腹痛で、心房細動を伴うこと、通常の鎮痙・鎮痛剤の効果が弱いこと、経過中新鮮血の下血が見られたことから、高度の虚血性大腸炎などを鑑別するため、腹部造影CT検査を施行した。同検査で上腸間膜動脈の分枝に部分的な造影欠損を疑った。出血源を確認するため、大腸内視鏡検査を追加施行した。同検査で、大腸粘膜は正常と思われたが、回盲弁は出血・びらんし、回腸から新鮮血と壊死様物質の排泄を認めた。以上から、急性上腸間膜動脈閉塞症による虚血性小腸炎を疑い、手術目的で佐賀大学医学部付属病院に転院となった。手術所見では、小腸の色調変化は見らるものの壊死所見はなく、術中血管造影検査が施行された。上腸間膜動脈は中結腸動脈と第1空腸動脈を分枝した直後で閉塞しており、同部の血栓を除去されると小腸の色調が正常に戻ったため、回腸切除は施行されなかった。術後経過は良好で佐賀大学医学部付属病院退院後は、当院で心房細動などの継続治療を行っている。以上、大腸内視鏡検査が早期診断に有用であった急性上腸間膜動脈閉塞症を経験したので、報告する。 |
索引用語 |
大腸内視鏡検査, 急性上腸間膜動脈閉塞症 |