セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 22:好酸球性胃腸炎の2症例 |
演者 | 鮫島 朝之(鹿児島大学大学院消化器疾患・生活習慣病学) |
共同演者 | 倉元 隆二(鹿児島大学大学院消化器疾患・生活習慣病学), 藤田 浩(鹿児島大学大学院消化器疾患・生活習慣病学), 嵜山 敏男(鹿児島大学大学院消化器疾患・生活習慣病学), 坪内 博仁(鹿児島大学大学院消化器疾患・生活習慣病学), 福田 芳生(鹿児島厚生連病院), 谷口 鎌一郎(鹿児島厚生連病院) |
抄録 | 比較的稀な好酸球性胃腸炎の2症例を経験したので報告する。 症例1 34歳 男性 主訴:食後の腹痛 現病歴:平成9年8月頃より食後の心窩部痛、軟便が出現。近医の諸検査で過敏性腸症候群が疑われた。平成10年1月心窩部の激痛と好酸球増多40%を認め福岡大学病院へ入院。内視鏡検査で回盲部粘膜は発赤調であり生検で好酸球浸潤を認め好酸球性胃腸炎が疑われた。入院中、食物抗原の同定はできなかった。平成13年9月頃より臍周囲痛が発症してきたため当科を受診。10月26日内視鏡検査で直腸、上行結腸に発赤があり生検で好酸球浸潤を認めた。12月27日腹痛後、好酸球増多27%を認めた。平成14年2月14日精査目的で当院へ入院となった。 入院後の検査成績:食物に対するリンパ球刺激試験、S.I.(正常値180%以下)、キウイ:356%、バナナ:2945%と高値を示した。 経過:食事療法、NSAIDsによる対症療法や抗アレルギー剤などで腹痛の改善が充分にみられずプレドニゾロン30mg/日の内服を開始、好酸球は最高19%から1-2%と正常化し腹痛も改善した。プレドニゾロンは漸減し、退院後中止した。 症例2 30歳 男性 主訴:上腹部痛 現病歴:平成16年3月頃より食後や夜間に上腹部痛出現。近医の内視鏡検査で十二指腸潰瘍を指摘され抗潰瘍剤を投与された。約1ヵ月後内視鏡検査で潰瘍の改善は確認されたが症状は持続した。同年7月6日当科外来受診、腹痛、下痢があり好酸球増多41%を認めた。7月21日プロトンポンプ阻害剤を服用中であったが、内視鏡検査で胃十二指腸炎を認め生検で十二指腸粘膜に好酸球浸潤を認めた。8月2日精査目的で当科へ入院となった。合併症:気管支喘息 入院後の検査成績:食物に対するリンパ球刺激試験、S.I.、キウイ:220%、チーズ:400%、タマゴ:511%、バナナ:1972%と高値を示した。プリックテスト:キウイ陽性。 経過:入院中腹痛には食事療法とNSAIDsの頓用で対応した。次第に症状は軽快し好酸球は9%まで減少した。退院後、腹痛を発症する可能性のある食品を摂取しないように指導した。 これらの2症例ではいずれも食物に対するリンパ球刺激試験により原因と考えられる食品が同定され治療方針の決定に有用であった。 |
索引用語 | 好酸球, リンパ球刺激試験 |