セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 84:IFN治療によるHCV-RNA陰性化後に発生した肝細胞癌の一例 |
演者 | 久米村 秀(鹿児島市医師会病院外科) |
共同演者 | 石崎 直樹(鹿児島市医師会病院外科), 田畑 峯雄(鹿児島市医師会病院外科), 大迫 政彦(鹿児島市医師会病院外科), 柳 政行(鹿児島市医師会病院外科), 門野 潤(鹿児島市医師会病院外科), 海江田 衛(鹿児島市医師会病院外科), 大山 宗士(鹿児島市医師会病院外科), 重久 喜哉(鹿児島市医師会病院外科), 豊川 建二(鹿児島市医師会病院外科) |
抄録 | C型肝炎に対しIFN治療を行い、HCV-RNA陰性化後に発症した肝細胞癌の一例を経験したので報告する。症例は72才の女性。平成4年C型肝炎に対しIFN治療を行いHCV-RNA陰性化となった。平成17年9月に行った定期検診の超音波検査で肝S6のhigh echoic lesionを指摘された。CTでは造影効果の乏しい径2cm大の低吸収域を認め、内部に肝実質と同程度の吸収域を認めた。MRIではT1W1で軽度高信号、T2W1で等信号に描出されクッパーイメージングでわずかな高信号を認め、前癌~境界病変の診断であった。2月14日手術を行った。肝は肉眼的に正常肝で肝硬変の所見は認めなかった。S6表面に白色調の変化を認めた。術中超音波で術前指摘された病変と一致することを確認し、腫瘍を含めた肝部分切除術を行った。病理組織学的診断で病変部は細胞密度、異型度の高い索状構造を伴う脂肪変性を主体としており周囲との境界は不明瞭で、異型腺腫様過形成と診断された。また腫瘍内に径3mmの高分化型肝細胞癌を内包していた。非病変部の組織は門脈域の炎症性細胞浸潤がみられ慢性肝炎の所見を認めたものの再生結節、著明な繊維化はなく肝硬変は認めなかった。C型肝炎に発生する肝細胞癌は多くの場合、慢性肝炎に伴う肝線維化の進展が発癌リスクを増大させるとされ、多くの場合肝硬変を生じている。IFN投与でHCVの排除に成功した症例での発癌は有意に抑制されるとされるが、本症例はIFN治療によりHCV-RNA陰性化13年後に発症した微小肝癌を内包した腺腫様過形成であった。発癌の要因として、C型慢性肝炎を基礎として、異型腺腫様過形成が発生し、その後高分化型腺癌へ分化した一連のsequenceが考えられた。HCV-RNA陰性化が得られても慎重な経過観察が必要であることが示唆された。 |
索引用語 | 691024, 691024 |