セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 149:慢性膵炎に合併した脾梗塞の一例 |
演者 | 阿南 重郎(大分県厚生連鶴見病院消化器科) |
共同演者 | 永井 敬之(大分県厚生連鶴見病院消化器科), 小野 英樹(大分県厚生連鶴見病院消化器科), 内田 政広(大分県厚生連鶴見病院消化器科), 安部 高志(大分県厚生連鶴見病院消化器科), 大河原 均(大分県厚生連鶴見病院消化器科) |
抄録 | 【はじめに】今回われわれは、慢性膵炎に合併した脾梗塞の一例を経験したので、文献的考察を加えて報告する。【症例】56歳、男性。平成9年より慢性膵炎(アルコール性)と糖尿病にてフォロー中。平成17年1月29日夜より39℃台の発熱と左上腹部痛を認め救急車で当院外来受診。血液検査にて WBC 19700/μl, CRP 2.05 mg/dlと炎症所見を認め、腹部CTにて脾臓にくさび状の低吸収域を認め脾梗塞と診断し、絶飲食下に輸液、抗生剤、鎮痛剤投与などの保存的治療を施行した。その後、第2病日より腹痛は認めなくなり、第6病日には発熱も認めなくなった。第6病日のCTでは低吸収域は不変であったものの、第16病日のCTでは低吸収域の縮小を認めた。その後も著変なく経過し、第17病日の血液検査では炎症所見の正常化を認め退院となった。【考察】脾梗塞は非常に稀な病態であり、その発症頻度は0.004%との報告がある。原因は心疾患、白血病などの血液疾患に伴う血栓、膵炎、膵腫瘍、血管造影の合併症による脾動脈の閉塞、脾動脈瘤や脾腫大による相対的虚血などが挙げられる。本症例は以前から、アルコール多飲による慢性膵炎の急性増悪を繰り返しており、また血糖コントロールも不良であったことから、膵炎の脾実質内への波及や動脈硬化による血管閉塞が脾梗塞の原因と考えられた。脾梗塞の治療は保存的治療が第一選択となるが、梗塞巣の膿瘍や脾破裂、脾出血などの合併症が認められれば脾摘術が適応となる。本症例では保存的治療のみで軽快したが、脾梗塞の診療にあたっては、臨床経過や画像所見により正確に病態を把握し、治療方針を決定することが重要であると考えられた |
索引用語 | 脾梗塞, 慢性膵炎 |