セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胆道-診断1

タイトル 消P-462:

膵液胆道逆流症の病態診断に有用なENBD胆汁中アミラーゼ値測定

演者 有井 一雄(公立那賀病院・外科)
共同演者 山口 俊介(公立那賀病院・外科), 木下 博之(公立那賀病院・外科), 坂田 好史(公立那賀病院・外科), 森 一成(公立那賀病院・外科)
抄録 〔はじめに〕膵・胆管合流異常の定義は解剖学的に膵管と胆管が十二指腸壁外で合流する先天性の奇形であるので、診断基準はこれを証明するための画像検査に主眼が置かれている。しかし病態は主に膵管内圧と胆道内圧の関係による膵液胆道逆流による胆道炎,胆道癌と、稀に膵炎,膵癌の発生である。最近無石胆嚢炎あるいは胆道炎と膵炎の合併例に対して、ERCPを行った際にENBDも行い、ERCPの影響がなくなる数日後にENBD排液中のアミラーゼと血中アミラーゼを同時に測定し、ENBD排液中のアミラーゼが異常高値であれば膵液胆道逆流と診断して、総胆管―十二指腸吻合による分流手術を行っている。上記2例を提示し、ENBD胆汁中アミラーゼ値測定が膵液胆道逆流症の病態把握に有用であることを報告する。〔症例〕症例1は51歳,男性で、繰り返す胆道炎,肝炎と膵炎で近医から紹介された。CT,MRCPで胆膵に明らかな異常所見を認めず、ERCP→ENBDを行った。ERCPで異常所見を認めなかったが、4日後のENBD排液中アミラーゼが12671IU/L(血中は128)と高値であった。ENBD造影で乳頭部から十二指腸への流出は良好であったが、膵頭部のみ膵管が造影された。上記分流手術を行い、症状はなくなった。症例2は70歳,男性で、約30年前胆嚢炎で入院治療を受けたが原因不明であった。今回も無石胆嚢炎で近医から転入院した。CT,MRCPで胆嚢の軽度腫大のみで、ERCP→ENBDを行った。ERCPで小さな傍乳頭憩室があり主乳頭が通常より貧弱である以外に異常所見はなかった。6日後のENBD排液中アミラーゼが5061IU/L(血中は113)と高値であった。同様の手術を行い、経過良好である。〔まとめ〕膵・胆管合流異常を中心とする膵液胆道逆流症の診断に際して、画像診断にのみ囚われるのではなく病態を把握して治療法を決定することが重要で、その一つとしてENBD胆汁中アミラーゼ値測定が有用であると考える。
索引用語 膵液胆道逆流症, ENBD排液アミラーゼ