セッション情報 一般演題

タイトル 44:

側々型順蠕動性狭窄形成術が有用であった広範囲の小腸狭窄をもつクローン病の2症例

演者 今村 直哉(宮崎大学 医学部 第1外科)
共同演者 佛坂 正幸(宮崎大学 医学部 第1外科), 前原 直樹(宮崎大学 医学部 第1外科), 中島 真也(宮崎大学 医学部 第1外科), 松本 耕太郎(宮崎大学 医学部 第1外科), 日高 秀樹(宮崎大学 医学部 第1外科), 稲津 東彦(宮崎大学 医学部 第1内科), 山本 章二朗(宮崎県立延岡病院 内科), 千々岩 一男(宮崎大学 医学部 第1外科)
抄録 広範囲の小腸狭窄をもつクローン病に対しては、大量の小腸切除を施行すると短腸症候群となる可能性がある。今回我々は広範囲の小腸狭窄をもつクローン病2症例に対し、長い側々型順蠕動性狭窄形成術を施行し、良好な経過を得たので報告する。 症例1は29歳、男性。2002年にクローン病と診断され、内服治療を受けていたが、緩解と増悪を繰り返していた。2005年2月、小腸造影で回腸終末部の狭窄、瘻孔形成を指摘され、手術目的で当科に入院した。2005年4月、手術を施行、全小腸は184cmで、終末回腸22cmは一塊となり内瘻を認めた。さらにトライツ靭帯から100cmから162cmまでの部位に炎症を認め、計4箇所のskipした狭窄を認めた。回盲部切除を行い、90cmから160cmまでの小腸に対して側々型順蠕動性狭窄形成術を行い、約30cmの側々型狭窄形成とした。肛門側端は上行結腸と吻合した。術後21日目に小腸透視を施行し、狭窄がないことを確認した。術後1年を経過した現在、成分栄養および軽食で栄養状態は良好である。 症例2は40歳、女性。1996年にクローン病と診断され、1998年に2箇所の小腸切除術及び1箇所の狭窄形成術を受けていた。2005年12月、小腸造影で回腸に広範な狭窄を認め、手術目的で当科に入院となった。2006年1月、手術を施行、全小腸は117cmで、トライツ靭帯から62から85cmまでの小腸に炎症、狭窄を認めた。トライツ靭帯から55cmから90cmまでの小腸に対して側々型順蠕動性狭窄形成術を行い、約20cmの側々型狭窄形成とした。術後18日目に小腸透視を施行し、狭窄がないことを確認した。術後3ヶ月を経過した現在、中心静脈栄養は中止し、経口による成分栄養および軽食で栄養状態は良好である。 クローン病において広範囲の小腸に狭窄を有する症例には、側々順蠕動性狭窄形成術が可及的に小腸を温存させることが可能で、検討すべき術式と考えられた。
索引用語 クローン病, 狭窄形成術