セッション情報 一般演題

タイトル 20:

ガストログラフィン経口3D-CT検査が診断に有用であった胃短軸捻転症の一例

演者 岡田 恵一朗(佐賀市立富士大和温泉病院DELIMITER佐賀大学 医学部 消化器内科)
共同演者 向井 伸介(佐賀市立富士大和温泉病院 消化器外科), 木須 達郎(佐賀市立富士大和温泉病院DELIMITER佐賀大学 医学部 消化器内科), 藤本 一眞(佐賀大学 医学部 消化器内科)
抄録 症例は77歳女性。当院にて高血圧と逆流性食道炎で加療されていた。2005年10月27日夕食時に、突然胃部に痛みを自覚し、食事に伴う嘔吐が持続するため、翌10月28日当院外来を受診した。血液検査、腹部単純X線検査では有意な異常は認められなかった。上部消化管内視鏡検査で、胃内には多量の胃液・残渣が見られ、上部消化管の閉塞性病変が疑われたため、精査・加療の目的で入院となった。入院時胸部X線検査で、心臓に重なる縦隔腫瘤様病変を認めた。縦隔腫瘤様病変は以前の胸部X線検査では認められず、急速に発生した可能性が示唆された。同縦隔腫瘤様病変が上部消化管閉塞の原因として考えられた。そこで病歴を詳細に取り直すと、10年ほど前から時々食事中に突発し自然軽快する胃部異物感を感じていたとのことであった。また、以前の上部消化管内視鏡検査で高度の食道裂孔ヘルニアを指摘されていた。胃短軸捻転症などの急激に発症しうる上部消化管の閉塞性病変を疑い、ガストログラフィンを経口内服後に腹部単純CT検査を施行し、3Dの再構成画像を得た。同3D再構成画像で、胃体部はヘルニア内に持ち上がり捻転を起こしていた。以上より胃短軸捻転症と診断した。慢性に捻転を繰り返していたことが病歴上考えられたため、自然整復を促すため、経鼻胃管などにより保存的に加療した。しかし、3日経過し胃痛は軽快したものの、胃部異物感が持続するため、保存的治療を断念し内視鏡的に整復を試みた。上部消化管内視鏡を胃内に挿入すると、胃噴門部付近は拡張し体上部は反時計方向に圧迫閉塞していたが、大湾のひだを目印に盲目的に押し入れると細長く拡張した前庭部が見え、そのまま十二指腸内へ挿入し整復術を終了した。内視鏡的整復術後、今までのところ胃痛及び胃部異物感の再発は起こっていない。以上、ガストログラフィン経口3D-CT検査が診断に有用であった胃短軸捻転症の一例を経験したので、ここに報告する。
索引用語 胃短軸捻転症, 3D-CT検査