セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胆道-診断1

タイトル 消P-463:

経乳頭的胆管生検組織のIMP3とS100P免疫染色の検討

演者 川嶋 啓揮(名古屋大大学院・消化器内科学)
共同演者 廣岡 芳樹(名古屋大附属病院・光学医療診療部), 伊藤 彰浩(名古屋大大学院・消化器内科学), 大野 栄三郎(名古屋大附属病院・光学医療診療部), 松原 浩(名古屋大大学院・消化器内科学), 伊藤 裕也(名古屋大大学院・消化器内科学), 中村 陽介(名古屋大附属病院・光学医療診療部), 平松 武(名古屋大大学院・消化器内科学), 杉本 啓之(名古屋大大学院・消化器内科学), 鷲見 肇(名古屋大大学院・消化器内科学), 田中 努(名古屋大大学院・消化器内科学), 中村 正直(名古屋大大学院・消化器内科学), 宮原 良二(名古屋大附属病院・光学医療診療部), 大宮 直木(名古屋大大学院・消化器内科学), 後藤 秀実(名古屋大大学院・消化器内科学)
抄録 【目的】IMP3(IGF-II m-RNA-binding protein 3)、S100P(S100 calcium-binding protein P)は胆膵系腫瘍の悪性度評価に関わるbiomarkerであるとの報告が散見される。今回、経乳頭的胆管生検組織のIMP3、S100P免疫染色について検討した。【方法】2004年1月から2010年3月までに当院で経乳頭的胆管生検を施行したのべ304例中、評価可能な生検組織が採取され手術あるいは1年以上の経過観察で診断が確定している50例(胆管癌40例(生検診断可能26例、生検確定診断不能14例)、良性胆管狭窄10例(PSC5例など))を対象とした。(1)H.E.染色の病理診断、(2)臨床像(胆管癌症例の性別、年齢、stage(2以下or 3以上)、肉眼的形態分類(乳頭型or その他)、部位(肝門部orその他)、予後)とIMP3、S100Pの発現形態(注目細胞の陽性部分の程度をnegative(0%)、focal(1~50%)、diffuse(51~100%)に分類、陽性症例ではその染色強度をweak、intermediate、strongに分類)を比較検討した。【成績】(1)良性胆管狭窄10例のIMP3発現はPSCの1例でfocalにweakな染色が認められたのみであり、IMP3発現がfocalのintermediate以上あるいはdiffuseである場合を癌と診断すると、H.E.染色にて診断可能胆管癌26例中23例、確定診断不能胆管癌14例中6例が癌と診断された。感度・特異度はそれぞれH.E.染色(65%、100%)、IMP3発現(72.5%、100%)であった。S100Pは良性の60%、悪性の70%の症例でintermediate以上の発現が認められ差異はなかった。(2)IMP3発現と臨床像では有意な関係は認められなかったが、S100P陽性症例は有意に乳頭型胆管癌に少なく(chi-square test: P=0.047)、予後が悪い(log rank test: P=0.044)結果であった。【結論】胆管生検組織のIMP3免疫染色は質的診断能を向上させうる。またS100P免疫染色は予後予測に有用である可能性が示唆された。
索引用語 胆管癌, 胆管生検