セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
147:膵管脾静脈瘻とWeber-Christian症候群を合併した膵癌の一例
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演者 |
豊田 剛(産業医科大学 消化器代謝内科) |
共同演者 |
田口 雅史(産業医科大学 消化器代謝内科), 田代 充生(産業医科大学 消化器代謝内科), 山本 光勝(産業医科大学 消化器代謝内科), 木原 康之(産業医科大学 消化器代謝内科), 松垣 諭(産業医科大学 消化器代謝内科DELIMITER戸畑共立病院 内科), 大槻 眞(産業医科大学 消化器代謝内科) |
抄録 |
Weber-Christian症候群は、膵癌や膵炎等の膵疾患やSLE等の膠原病に合併する原因不明の皮下脂肪組織炎であり、膠原病の類縁疾患と考えられている。今回、我々は膵管脾静脈瘻とWeber-Christian症候群を合併した膵癌の一例を経験したので報告する。症例は61歳男性。元来大酒家であり、2001年に近医で慢性膵炎と診断され、それ以後は近医で定期的に経過観察されていた。2006年2月9日に心窩部痛及び左背部痛が出現し、慢性膵炎急性増悪の疑いで近医へ入院した。膵炎の重症度は軽症であり、絶食、GM投与で経過をみられたが、血清膵酵素高値(アミラーゼ 5,400~5,900 IU/l, リパーゼ 5,600~9,800 IU/l)が持続し、同時に門脈内血栓症も認めた。また入院後より38~39℃の発熱と共に圧痛を伴う皮下結節が全身に出現しため、精査加療目的で3月10日に当院へ転院した。CTやMRIでは膵鉤部に腹腔動脈等を巻き込む辺縁不整な径2cmの腫瘤性病変を認めた。ERPでは、血性膵液と共に膵頭部の主膵管に造影剤のpoolingとその末梢側から膵管外へ造影剤の漏出を認めた。ERP直後に施行した単純CTでは、膵管の造影と同時に脾静脈及び門脈にも造影効果を認めたため、膵癌による膵管脾静脈瘻と診断した。なお、皮下結節の生検はpancreatic paniculitisであり、膵疾患に伴ったWeber-Christian症候群と診断した。本症例での持続する血清膵酵素高値の原因として膵癌による膵管脾静脈瘻が考えられ、更にWeber-Christian症候群も合併していたという点で非常に貴重な症例であり、若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 |
膵管脾静脈瘻, Weber-Christian症候群 |