セッション情報 一般演題

タイトル 130:

原発病巣の診断が困難であった癌性胸腹膜炎の一例

演者 知念 隆之(琉球大学医学部付属病院光学医療診療部DELIMITER中頭病院)
共同演者 仲本 学(琉球大学医学部付属病院光学医療診療部), 岸本 一人(琉球大学医学部付属病院光学医療診療部), 豊見山 良作(琉球大学医学部第一内科), 内間 庸文(琉球大学医学部第一内科), 平田 哲生(琉球大学医学部第一内科), 外間 昭(琉球大学医学部第一内科), 金城 渚(琉球大学医学部付属病院光学医療診療部), 佐久川 廣(琉球大学医学部第一内科), 金城 福則(琉球大学医学部付属病院光学医療診療部), 藤田 次郎(琉球大学医学部第一内科)
抄録 症例は44歳男性。平成16年6月頃より食欲低下、心窩部痛あり8月下旬近医受診。血性胸腹水を認め、細胞診でclass5(adenocarcinoma)より癌性胸腹膜炎の診断で同年9月当院紹介入院となった。上部消化管内視鏡検査では胃穹窿部と前庭部にSMT様の腫瘍を認め、穹窿部からの生検にて中分化型腺癌の診断であった。下部消化管内視鏡検査ではS状結腸に壁外からの浸潤を思わせる病変を認めたが病理検査では悪性所見はなく、それより深部への内視鏡挿入は不可能であった。注腸検査ではS状結腸のほか脾弯曲部、肝弯曲部に狭窄所見を認めた。CTでは胸腹水の他に脾臓に転移を疑う多発腫瘤を認めた。CEA、DUPAN-2の上昇があり、膵癌が鑑別にあげられたが画像上膵臓に明らかな腫瘍はなかった。胃、大腸ともに病変は多発しており、内視鏡所見や注腸検査からはいずれも転移性の腫瘍が考えられた。大腸原発の癌性腹膜炎は比較的まれであることから、粘膜下腫瘍様の形態を呈した胃癌、癌性胸腹膜炎、大腸・脾転移の診断で化学療法を開始した。胃癌としてのレジメでTS-1/TXTの併用を2コース投与したが、肝転移巣の出現、胸腹水の増悪傾向ありTS-1/TXLへ変更し3コース投与。さらにレジメをCPT-11/CDDP、TXL/CDDPと変更したが、その後穿孔性の腹膜炎をきたした。保存的治療で改善し次の治療を検討していたが、肺炎と癌性リンパ管症による呼吸状態の悪化を認め平成17年5月永眠された。診断後約8ヶ月の経過であった。剖検では主病変が検討されており、大腸と胃に多発病変を認めいずれの病変が原発巣か転移巣かの判断が困難であった症例を経験したので報告する。
索引用語 癌性胸腹膜炎, 大腸癌