セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胆道-診断1

タイトル 消P-464:

高齢者急性胆管炎の検討

演者 富澤 稔(国立下志津病院・消化器内科)
共同演者 篠崎 文信(国立下志津病院・放射線科), 杉山 隆夫(国立下志津病院・リウマチ科), 山本 重則(国立下志津病院・小児科), 末石 眞(国立下志津病院・リウマチ科), 吉田 孝宣(国立下志津病院・内科)
抄録 【目的】高齢化社会を迎え高齢者の急性胆管炎を診療する機会が多い。そこで高齢者における急性胆管炎の留意点を探った。【方法】平成21年6月より同23年1月まで当院において診療した65歳以上の急性胆管炎について主訴、血液検査、腹部超音波像について解析した。【成績】17例(男7、女10例)が該当した。4例でCharcot3徴を呈した。「急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン」における重症は4例であった。80歳以上は2例ありともに重症であり、1例がCharcot3 徴を呈し、来院時血圧低下と菌血症を呈していた。5例が慢性関節リウマチにてステロイドホルモンまたはメソトレキセート等の免疫抑制剤を投与されており、3例で白血球数、CRPともに上昇していたが、残り2例では両者ともに正常範囲であった。総胆管径が正常範囲の4例の内2例で総胆管結石が描出された。今回の検討では6例(35%)で総胆管結石が描出された。80歳以上の2例を含めた12例で内視鏡的乳頭切開術、砕石術を施行し、排石を確認している。75-79歳の2例で検査中の自己抜去、1例で解剖学的にカニュレーションが困難であった。自己抜去例では1例が認知症、1例では夜間せん妄が見られた。【結論】高齢者の急性胆管炎では典型的な症状を呈さないことがあり、短時間に重症化することがある。しかし通常の診断体系を用いれば診断に苦慮する例は少ないと考えられる。高齢に伴い慢性関節リウマチ等が併存し、免疫抑制剤を投与されている例でも、投与されていない例と同様に血液検査で異常値を呈すると考えられる。高齢者ではERCP中に体動、自己抜去がみられることがある。認知症、夜間せん妄の存在で予見可能と考えられるが、意思疎通が良好な例でもERCP中に自己抜去を試みる例もあるので、適宜鎮静剤の使用を検討する必要があると考えられた。
索引用語 免疫抑制剤, 鎮静剤