セッション情報 一般演題

タイトル 97:

斜台転移を合併した肝細胞癌の1症例

演者 東 晃一(九州大学 大学院 医学研究院 病態機能内科学 (第二内科))
共同演者 緒方 久修(九州大学 大学院 医学研究院 病態機能内科学 (第二内科)), 飯田 三雄(九州大学 大学院 医学研究院 病態機能内科学 (第二内科)), 井上 崇弘(九州大学 大学院 医学研究院 形態機能病理学), 豊島 里志(北九州市立医療センター 臨床検査科)
抄録 症例は40歳、男性1997年C型肝硬変症と診断され、近医で食道静脈瘤に対し内視鏡的硬化療法(EIS)を施行された。2001年、2002年に肝性脳症のため、近医で加療された。2003年11月当科で肝S3、S8の肝細胞癌に対してchemolipiodolizationを施行された。なお、この時点では骨シンチ、Gaシンチ、頭部CT検査、胸腹部CT検査では肝細胞癌の肝外転移を認めなかった。2004年1~2月近医で食道静脈瘤に対してEIS施行を施行された。3月当科での骨シンチでは骨転移を疑わせる異常集積を認めなかった。4月中旬より、頭頸部痛、構音障害、舌の痺れが出現。構音障害の増悪、嚥下障害を認め、経口摂取が不可能となったため、4/30前医入院。頭部MRI検査で鼻腔内への浸潤を伴う頭蓋内腫瘍を認め、腹部CT検査では肝左葉を占拠する肝細胞癌を認めた。その後5月中旬より複視が出現し、神経所見の増悪を認めたため、精査加療目的で5/17当科入院となった。入院時左眼の外転障害を認め、頭部MRI検査では、斜台を置換し前方に進展する径3x6cmほどの充実性腫瘤を認め、蝶形骨洞内にも進展していたが、トルコ鞍や下垂体は保たれていた。腫瘤はT1強調画像で脳実質と等信号で、T2強調画像では等信号内に高信号域が混在し、拡散強調像では脳実質より僅かに高信号で、ADCはわずかに亢進し、ガドリニウムにて充実性に増強され、肝細胞癌の転移で矛盾しない所見であった。今回われわれは斜台転移を合併した肝細胞癌の1症例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 肝細胞癌, 斜台転移