セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 80:C型慢性肝炎に対するペグインターフェロン,リバビリン療法に伴う甲状腺機能異常の検討 |
演者 | 坂本 典子(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院 肝臓科) |
共同演者 | 具嶋 敏文(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院 肝臓科), 高崎 智子(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院 健康管理センター), 高橋 和弘(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院 肝臓科) |
抄録 | 【目的】 C型慢性肝炎に対するインターフェロン療法中にしばしば甲状腺機能異常を併発することが知られている.今回われわれは,ペグインターフェロン,リバビリン併用療法中の,甲状腺機能異常出現頻度,経過について報告する. 【方法】 2004年12月より2006年3月まで当院でペグインターフェロン,リバビリン併用療法を開始した91例中,12週以上経過観察し,かつ甲状腺機能の経過が測定可能であった60例.甲状腺機能は,F-T4, TSHを測定し,機能異常を認めた症例では,甲状腺自己抗体として,抗サイログロブリン抗体,抗TPO抗体,TSHレセプター抗体を測定した. 【成績】 60例のうち4例(6.7%)で甲状腺機能異常を認めた.2例は甲状腺機能亢進症で,2例は甲状腺機能低下症であった.症例1は39歳男性.投与開始5ヶ月目で高度の全身倦怠感出現,F-T4 7.77μIU/ml以上, TSH0.006ng/dl, 抗サイログロブリン抗体,抗TPO抗体はともに陽性,TSHレセプター抗体は陰性であった.投与前の甲状腺機能は正常であった.症例2は42歳女性.投与開始3ヶ月目で高度の全身倦怠感出現,F-T4 7.77μIU/ml以上, TSH0.005 ng/dl, 抗サイログロブリン抗体,抗TPO抗体,TSHレセプター抗体は陽性であった.投与開始前の甲状腺機能は正常で,抗サイログロブリン抗体のみ陽性であった.症例3は54歳女性.投与開始7ヶ月目で高度の全身倦怠感出現,F-T4 0.87μIU/ml, TSH10.38 ng/dl, 抗サイログロブリン抗体,抗TPO抗体,TSHレセプター抗体は陽性であった.投与開始前の甲状腺機能は正常であった.症例4は43歳女性.投与開始7ヶ月目に,F-T4 0.80μIU/ml, TSH10.42 ng/dl, 抗サイログロブリン抗体,抗TPO抗体,TSHレセプター抗体は陽性であった.投与開始前の甲状腺機能は正常であった. 【結論】 ペグインターフェロン,リバビリン併用療法に伴い全身倦怠感,食欲低下,動悸等の症状を認めるため,自覚症状のみで甲状腺疾患を診断するのは困難な場合が多かった.甲状腺機能異常の合併頻度は高率で,全例とも投与前の甲状腺機能は正常であったことより,甲状腺自己抗体を含め慎重な経過観察が必要と考えられた. |
索引用語 | C型慢性肝炎, 甲状腺機能異常 |