セッション情報 |
シンポジウム2
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タイトル |
S2-004:自己免疫性膵炎に合併した膵外病変とその治療経過の検討
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演者 |
斎藤 文彦(久留米大学 内科学講座 消化器内科部門) |
共同演者 |
岡部 義信(久留米大学 内科学講座 消化器内科部門), 菅 偉哉(久留米大学 内科学講座 消化器内科部門), 佐田 通夫(久留米大学 内科学講座 消化器内科部門) |
抄録 |
【目的】自己免疫性膵炎は多彩な膵外病変を合併し、全身疾患としての概念も提唱されている。当科で経験した自己免疫性膵炎の膵外病変およびその治療経過について検討した。【対象と検討】対象は2000年2月より2005年12月までに自己免疫性膵炎と診断した11例(男:女=8:3、平均年齢64.0歳)。初発症状は、黄疸6例、食思不振2例、上腹部痛2例、全身倦怠感2例、右季肋部痛1例、口腔内乾燥1例(重複あり)だった。全例、膵腫大とERPで膵管狭細像を認めた。血液生化学検査で、IgGは9例で高値、IgG4は測定し得た6例中5例で高値、抗核抗体は4例で陽性だった。10例にステロイド漸減内服を行った。1例は本人の同意が得られず経過観察となった。対象症例における膵外病変の内訳とステロイドの治療効果、および長期経過について検討した。【結果】膵外病変は11例中11例(100%)に認め、その内訳は胆管病変9例(81.8%)、唾液腺病変2例(18.2%)、涙腺病変2例(18.2%)、後腹膜線維症1例(9.1%)(重複あり)だった。胆管病変は胆管造影で全例下部胆管狭窄像を認め、8例が閉塞性黄疸を呈し、7例に対して減黄術を行った。また胆管腔内超音波(IDUS)を行った6例中6例(100%)で胆管壁の肥厚を確認できた。唾液腺病変及び涙腺病変は、いずれも腫大と軽度の機能低下だった。ステロイド漸減内服後、全例膵病変とともに膵外病変は改善した。ステロイド維持量内服中に異所性の胆管狭窄を2例(20%)で認めたが、内服再増量で改善した。ステロイド維持量で経過観察中の6例(平均観察期間701日)と、内服を中止した2例(同1037日)は再燃を認めていない。【結語】当院で経験した自己免疫性膵炎は全例に膵外病変を認め、発見契機となることが多かった。一方、膵外病変の多くはステロイド治療によく反応するが、再燃例も認められた。ステロイドの内服方法について、今後更に検討する必要があると思われる。 |
索引用語 |
自己免疫性膵炎, 膵外病変 |