セッション情報 一般演題

タイトル 144:

膵腺房細胞癌が疑われた未分化癌の一症例

演者 丸山 祐二(独立行政法人 国立病院機構九州がんセンター 消化器内科)
共同演者 藤森 尚(独立行政法人 国立病院機構九州がんセンター 消化器内科), 古藤 真里(独立行政法人 国立病院機構九州がんセンター 消化器内科), 太田 聡(独立行政法人 国立病院機構九州がんセンター 消化器内科), 横田 昌樹(独立行政法人 国立病院機構九州がんセンター 消化器内科), 澄井 俊彦(独立行政法人 国立病院機構九州がんセンター 消化器内科), 船越 顕博(独立行政法人 国立病院機構九州がんセンター 消化器内科), 江口 孝志(独立行政法人 国立病院機構九州がんセンター 病理部)
抄録 症例は74歳、男性。平成17年11月上旬から上腹部痛・約1ヶ月で4kgの体重減少があり、経口摂取不能となったため近医受診。血清アミラーゼ軽度(152IU/l)上昇認め、腹部CTが施行され、膵頭部に増強される腫瘤像を認めた。精査加療のため当院入院。糖尿病はなく、腫瘍マーカーはCEA、CA19-9、SPan-1、DUPAN-2とも上昇を認めず、エラスターゼ1(5142ng/dl)、トリプシン(2900ng/ml)、リパーゼ(505IU/l)等の膵酵素の上昇が目立ち、膵腺房細胞癌が疑われた。当初、生検などにより診断確定し、最終的な治療方針を決定する予定であったが、急激に胆道系酵素の上昇を認め、癌の急性増悪・胆管閉塞の可能性が疑われたため、急遽、gemcitabine(GEM)投与を開始した。投与開始後、腹部症状、胆道系酵素ともに改善を認めた。FDG-PET, 胸写上肺転移を伴うStageIVbの膵癌と診断、GEMによる化学療法を継続。全身状態改善を認めたため、一時退院した。退院後、腹痛、背部痛、発熱が見られ、T-Bilの上昇認め、閉塞性黄疸が疑われ再入院、GEM+UFT療法を開始し、T-Bilの正常化するも、CEA,CA19-9は依然正常で、エラスターゼ1は399ng/dlまで低下した。その後に急性呼吸不全となり、胸写は右肺野に浸潤影、下葉に無気肺像、左肺野は間質影が優位な状態であった。癌性リンパ管症の急性増悪、間質性肺炎などが疑われた。ステロイド・抗生剤投与にて一時、呼吸状態は改善したが、肝機能の悪化、イレウス症状・腹水が出現。全身状態増悪、黄疸進行し、発症3ヶ月で永眠された。抗癌剤の投与中は胆道系酵素の改善、全身状態の改善、黄疸の改善などを認めた。CEA、CA19-9は最後まで上昇なく、エラスターゼ1、リパーゼ、トリプシンなどを腫瘍マーカーとしてフォローしていたが、剖検病理所見では膵未分化癌であった。膵腫瘍は十二指腸への浸潤を認めるも、随伴性膵炎像は明らかでなく、実際の病状とは乖離していた。膵腺房細胞癌が疑われ、急性の興味ある経過を辿った膵未分化癌の症例を経験した。
索引用語 膵癌, 未分化癌