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セッション情報 一般演題
タイトル 168：

肝内結石治療後経過観察中に進行肝内胆管癌を合併した一例
演者 長沼　志興（宮崎大学　医学部　第一外科学講座）
共同演者 千々岩　一男（宮崎大学　医学部　第一外科学講座）, 甲斐　真弘（宮崎大学　医学部　第一外科学講座）, 大内田　次郎（宮崎大学　医学部　第一外科学講座）, 大谷　和広（宮崎大学　医学部　第一外科学講座）, 旭吉　雅秀（宮崎大学　医学部　第一外科学講座）, 永野　元章（宮崎大学　医学部　第一外科学講座）, 今村　直哉（宮崎大学　医学部　第一外科学講座）
抄録 【はじめに】肝内結石症は診断時や経過中に胆道癌を合併する頻度が高い難治性疾患である．肝内結石をともなう肝内胆管癌は結石による胆管や肝実質の炎症性変化の修飾もあり，術前の存在診断や進展度診断が困難である．術前診断率の低さは治療成績の不良につながっている．今回肝内結石症治療後12年を経過して進行肝内胆管癌を合併した1例を経験した．【症例】62歳，女性．看護師．主訴は上腹部痛．1992年に肝内型（B5, B8）の肝内結石を指摘され1993年にPTCSLで完全切石を得た．結石はビリルビンカルシウム結石だった．その後当科で年に1回程度CT，および血液検査をおこない，定期的に経過観察していた．2004年1月下旬心窩部痛，背部痛が出現したため当科外来を受診した．腹部CTで肝右葉前区域S5-S8を中心に径8x5cmの不整形低吸収域の腫瘤を認めた．発熱も認め肝膿瘍も否定できなかったが，胆管細胞癌の疑いが強く，精査加療目的で2月中旬に当科に入院した．ERCPで右肝管は根部で狭窄し，左右肝管合流部の壁の効果像も認めた．胆汁細胞診ではClass IVであった．肝門部胆管浸潤をともなう肝内胆管癌の診断で，術前門脈塞栓をおこなった後に拡大肝右葉切除+肝外胆管切除術を施行した．摘出標本では肝右葉に径が8x5cmの白色調の充実性の腫瘍を認め，グリソン鞘沿いに右肝管根部まで腫瘍が進展していた．また，肝内転移巣を認めた．肝十二指腸間膜内にリンパ節転移も認めた．組織学的診断は低分化型腺癌でstage IVbであった．術後2ヶ月で残肝S3, S4に多発性の肝内転移を認めた．転移巣は急速に増大し，また腹膜播種に伴う腹水も増加し，8月下旬に多臓器不全で死亡した．【考察】肝内結石症は肝内胆管癌を合併する危険が高い．肝内結石合併胆道癌は進行例が多く予後不良で，また本症例のように経過中の癌合併もあり，早期診断と長期間の定期的な経過観察の必要性が示唆された．
索引用語 肝内胆管癌, 肝内結石