セッション情報 一般演題

タイトル 6:

経胃瘻的幽門部ステント留置により経口抗癌剤を投与し得た進行胃癌の1例

演者 肱岡  範(上天草市立上天草総合病院)
共同演者 田浦 尚宏(上天草市立上天草総合病院外科)
抄録 (症例)76歳男性。平成18年2月、嘔吐にて来院し幽門部に全周性狭窄を伴う4型胃癌が発見された。肝転移も認め根治切除は不能と判断。開腹胃空腸吻合術も検討されたが、心臓カテーテル検査にて左主幹部および左前下行枝近位部にそれぞれ50%,90%の狭窄を認める虚血性心疾患が確認され、開腹手術は困難と診断された。水分摂取も不可能な状態であったため、QOL改善を目的に幽門部狭窄に対し経口的に食道用Ultraflex stent(covered 10cm proximal release)の留置を試みた。しかし胃内のたわみのためデリバリーシステムの深部誘導が困難であった。そこで胃瘻造設後、経胃瘻的ルート(Gastroenterol Endosc48,vol1, 2005)での留置を施行し、5分粥までの経口摂取が可能となり早期に在宅での生活が可能となった。化学療法の適応ありと判断し3月よりS1の内服投与を開始し得た。現在のところ、化学療法の効果判定は未施行であるがS1の内服は継続できておりその奏功に期待が持てる。(考察)悪性消化管狭窄はQOLを損なう大きな問題であり、入院を余儀なくされる事が多い。悪性胃十二指腸狭窄に対するステント留置は有用であるが留置困難な例が多い。経胃瘻的ルートによるステント留置は無理なく留置が可能であり、QOLの改善に加え化学療法のオプションも選択でき非常に有用であると思われた。
索引用語 悪性消化管狭窄, ステント