セッション情報 一般演題

タイトル 171:

転移性肝癌破裂を契機に発見された悪性黒色腫の一例

演者 和田 史孝(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門)
共同演者 田尻 能祥(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門), 井上 欣哉(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門), 黒木 淳一(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門), 長岡 栄(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門), 秋吉 順史(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門), 鳥村 拓司(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門), 神代 龍吉(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門), 井出 達也(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門), 河野 弘志(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門), 佐田 通夫(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門)
抄録 【はじめに】転移性肝癌の自然破裂は原発性肝癌のそれに比し極めて稀である。今回我々は、背部悪性黒色腫の肝転移破裂の1例を経験したので報告する。【症例】59歳男性【主訴】突然の右側腹部痛【現病歴】生来健康であったが2004年8月14日に突然の右側腹部痛が出現し、肝癌と診断された。8月24日、肝癌切迫破裂、副腎転移疑われ、肝切除目的で当院外科に入院となった。【入院時現症】血圧;132/80mmHg、脈拍;60/min。眼球結膜に貧血は認めなかった。腹部では、右季肋部に自発痛、圧痛を認め、肝を2横指触知した。【入院時検査】Hb;14.5g/dlで、T-Bil;0.65mg/dl、Alb;4.07g/dl、PT;97%であったが、LDH;1260 U/Lと高値であった。HBs-Ag、HCV-Abは陰性で、AFP、PIVKA-2ともに正常であった。腹部CTで肝後区域主体突出した10×8cmの腫瘤を認め、造影早期相にて淡く不均一に造影され、内部には壊死によるものと思われる低吸収域を認めた。後期相では低吸収を呈していた。肝表面に少量腹水、胸水貯留を認めた。【経過】拡大後区域切除を予定したが、3D-CTにて切除率70%であったため手術は不可能である判断された。8月30日、腹部血管造影検査を施行し、右葉にびまん性に腫瘍染を認め、肝動脈塞栓術施行した。その後9月10日に化学療法目的に当科に転科となった。9月13日に右鼠径よりリザーバー留置した。腫瘍マーカーの上昇なく、画像所見も典型的な肝細胞癌の所見ではない為、確定診断のため9月21日に腫瘍生検を施行し、悪性黒色腫の肝転移と診断した。皮膚症状であるが、足底に黒色班を認め、また背部に3cmの表面平滑で弾性硬の黒色結節を認めた。悪性黒色腫の肝転移の診断で10月12日に皮膚科に転科となった。転移巣の進行は急速で転科時には多臓器に転移巣を認め12月1日に永眠された。【結語】転移性肝癌破裂を契機に発見された悪性黒色腫の1例を経験した。画像にても典型的な肝細胞癌の所見はなく、また肝機能正常、ウイルスマーカーも陰性であり診断に苦慮した。結果的に生検を施行したが、皮疹の存在とLDH高値など生検せずに診断可能であったと考えられる。
索引用語 転移性肝癌, 腫瘍破裂