セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 74:膵腫瘍を否定できなかった外傷性膵嚢胞の一例 |
演者 | 藤村 成仁(福岡大学筑紫病院 消化器科) |
共同演者 | 植木 敏晴(福岡大学筑紫病院 消化器科), 大谷 圭介(福岡大学筑紫病院 消化器科), 清水 愛子(福岡大学筑紫病院 消化器科), 疋田 祥子(福岡大学筑紫病院 消化器科), 松井 敏幸(福岡大学筑紫病院 消化器科), 福田 臨太郎(福岡大学筑紫病院 外科), 成冨 一哉(福岡大学筑紫病院 外科), 関 克典(福岡大学筑紫病院 外科), 二見 喜太郎(福岡大学筑紫病院 外科), 太田 敦子(福岡大学筑紫病院 病理部), 原岡 誠司(福岡大学筑紫病院 病理部), 岩下 明徳(福岡大学筑紫病院 病理部) |
抄録 | 症例は70歳代の女性、洞不全症候群・心房細動・大腸ポリープの既往歴あり。2005年2月よりジギタリス・ワーファリンの内服を開始していた。同年9月16日入浴中に浴槽で転倒し背部を強打した。打撲後、右背部痛が3日間持続し近医整形外科受診したが背部痛の原因は不明であった。5日目からは心窩部痛も出現し近医内科を受診したが内服処方のみで経過観察されていた。20日目には心窩部から前胸部にかけての疼痛と37.5℃の発熱が出現した。22日目に当科受診し腹部CTにて膵腫瘤を指摘され精査加療目的にて当科入院となった。WBC 6600/μl,CRP 10.2 mg/dl,Amylase 50 IU/l,腫瘍マーカーは陰性であった。US,CT上膵頭部に径51×41mmの多房性嚢胞があり、肥厚した隔壁内に石灰化を認めた。膵体部に径9mmの嚢胞があり、主膵管は軽度拡張していた。十二指腸内視鏡検査ではVater乳頭の開大と粘液の排出を認めた。ERCPでは膵頭部の嚢胞による胆管・膵管の圧排と下頭枝の分枝や膵体部の主膵管と交通のある多房性嚢胞(IPMN)を認めた。ERP-CTでは膵頭部の腫瘍と主膵管に交通は認めなかった。EUSではその嚢胞内にエコーレベルの異なるcystic lesionを認めたが壁在結節はなかった。外傷性膵嚢胞が疑われたが特殊型膵腫瘍を否定できず開腹した。膵頭部の腫瘤は門脈と強固に癒着しており剥離中に嚢胞壁が破れ、嚢胞内容物は膿性であったためドレーンを留置して閉腹した。嚢胞内容液のアミラーゼ値は高値でCA19-9とCEAは上昇していたが、細胞診はclassIであった。なお、膵体部の嚢胞は核出術を行い、病理診断はadenomaであった。以上よりIPMNに合併した外傷性膵嚢胞と診断した。その後、4ヵ月経過したが嚢胞は縮小傾向である。 |
索引用語 | 外傷性膵嚢胞, IPMN |