セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胆道-診断2

タイトル 消P-468:

肝門部及び上部胆管癌のMDCTによる神経周囲浸潤診断

演者 萱原 隆久(静岡県立総合病院・消化器内科)
共同演者 吉田 将雄(静岡県立総合病院・消化器内科), 永倉 千沙子(静岡県立総合病院・消化器内科), 上田 樹(静岡県立総合病院・消化器内科), 重友 美紀(静岡県立総合病院・消化器内科), 黒上 貴史(静岡県立総合病院・消化器内科), 白根 尚文(静岡県立総合病院・消化器内科), 鈴木 直之(静岡県立総合病院・消化器内科), 菊山 正隆(静岡県立総合病院・消化器内科)
抄録 【背景】肝門部および上部胆管癌の術前検査において、癌の水平方向・垂直方向への進展診断はMDCTの他、IDUSやPOCSが有用とされる。一方で、胆管外、特に神経周囲浸潤(pn)についての評価は十分になされてはいない。【目的】術前MDCT所見と切除標本の病理所見を用いて検討し、pnの程度とCT値と関連性に注目し、術後再発との関連性を明らかにする。【方法】平成18年1月から平成22年12月までの4年間に当院で外科手術を行った肝門部及び上部胆管癌23例を対象とし、MDCT上の右肝動脈周囲、肝十二指腸間膜における脂肪織濃度上昇に注目してROIを設定しCT値を計測した。神経周囲浸潤の予測はCT値が50以上を示したものをpn2, 3、50以下をpn0, 1として切除標本と対比し、術後再発との関連についても検討した。また、他院でPTCDを留置されていたものは読影から除外した。【結果】手術症例23例中pn0, 1は13例で、pn2, 3が10例であった。CT値計測による正診率は72.7% (16/22)であった。誤診例では過小診断が4例にみられた。pn0,1症例中術後再発を来たしたものは1例であったが、pn2, 3では5例にリンパ節、腹膜播種再発などが見られた。pn2, 3における再発リスクはpn0, 1と比較してOdds比が12.0であり、術後再発との関連が強く示唆された。【考察】胆道癌診療ガイドラインにおいてはpn陽性と予後との相関性は不確定だが、剥離面の癌遺残の因子として重要とも記載されている(レベルIV)。一方、今回我々の検討でMDCTがpn高度陽性を予見する可能性と、pn高度陽性が術後再発のリスクであることが示唆され、術前化学療法または放射線化学療法の適応を考慮する要因となる可能性がある。
索引用語 肝門部胆管癌, 神経周囲浸潤