セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胆道-診断2

タイトル 消P-470:

胆管狭窄を伴う膵癌症例に対する経乳頭的胆管生検の診断能に寄与する因子の検討

演者 木村 公一(静岡がんセンター・内視鏡科)
共同演者 松林 宏行(静岡がんセンター・内視鏡科), 田中 雅樹(静岡がんセンター・内視鏡科), 滝沢 耕平(静岡がんセンター・内視鏡科), 角嶋 直美(静岡がんセンター・内視鏡科), 山口 裕一郎(静岡がんセンター・内視鏡科), 小野 裕之(静岡がんセンター・内視鏡科), 佐々木 恵子(静岡がんセンター・病理診断科)
抄録 【目的】近年、膵癌の組織診断にはEUS-FNAが用いられている。悪性胆道狭窄例では、経乳頭的胆道ドレナージ時に胆管狭窄部からの鉗子生検は容易であり、胆管癌では広く施行されているが、膵癌例での報告は比較的少ない。今回、胆管狭窄を伴う膵癌に対する経乳頭的胆管生検の診断能に寄与する因子を検討した。【対象と方法】対象は2003年9月から2010年8月の期間に画像所見および臨床経過から膵癌と診断した症例のうち、胆道狭窄に対して鉗子生検を施行した55例。胆管組織の病理診断は、癌・癌疑い・異型上皮・悪性所見なしに分類し、癌・癌疑いを癌陽性とした。生検鉗子は1.95mmまたは1mm口径のものを使用した。因子別(胆管狭窄長、ERC前T.bil値、鉗子、外科切除例における腫瘍径・分化度・肉眼型・癌浸潤増殖様式)の癌陽性率を検討した。【結果】経乳頭的胆管生検による癌陽性率は0.49(27/55)。ERCにおける胆管狭窄長は平均値16.5mm。ERC前T.bil値は平均値8.0mg/dl(胆道ドレナージ施行済みの7例を除外した)。胆管狭窄長の平均値は、陽性群で18.2mm、陰性群で14.9mmであり、陽性群が有意に長かった(P<0.01 )。ERC前T.bil平均値は、陽性群で11.5mg/dl、陰性群で4.7mg/dlであり、陽性群が有意に高かった(P<0.01 )。鉗子別の癌陽性率には有意差を認めなかった。外科切除24例における検討では、腫瘍径の平均値は、陽性群で43.7mm、陰性群で30.0mmであり、陽性群で腫瘍が有意に大きかった(P=0.02)。腫瘍径別の癌陽性率は、TS1が0、TS2が0.5、TS3が0.71、TS4が1であり、大きな腫瘍で癌を検出しやすい傾向を認めた(P=0.1)。分化度別・肉眼型別・癌浸潤増殖様式別の癌陽性率には、有意差を認めなかった。【結語】胆管狭窄を伴う膵癌症例に対する胆管生検では、狭窄が長く、腫瘍が大きく、高度黄疸症例において、癌を検出しやすいと考えられた。
索引用語 膵癌, 胆管生検