共同演者 |
関 志帆子(大森赤十字病院・消化器内科), 西郡 修平(大森赤十字病院・消化器内科), 大塚 由紀(大森赤十字病院・消化器内科), 浜中 潤(大森赤十字病院・消化器内科), 井田 智則(大森赤十字病院・消化器内科), 諸橋 大樹(大森赤十字病院・消化器内科), 太原 洋(大森赤十字病院・消化器内科), 後藤 亨(大森赤十字病院・消化器内科) |
抄録 |
【目的】急性胆管炎診療ガイドラインでは中等症以上で速やかな胆道ドレナージを推奨している。今回,当院にてERCPを施行した急性胆管炎症例についてガイドラインに準拠しているか否か,予後を含めて検討した。【方法】対象は2008年1月から2010年12月までに急性胆管炎と診断しERCPを施行した79例。その内、来院後24時間以内にERCPを施行した例を緊急群,来院後24時間以降にERCPを施行した例を待期群とし,ガイドライン合致率および予後について検討した。【成績】緊急群は27例で,原疾患は総胆管結石25例,悪性疾患2例であった。待期群は52例で,原疾患は総胆管結石45例,悪性疾患6例,その他1例であった。緊急群のうち速やかなドレナージが推奨される中等症以上の例は21例78%(重症3例,中等症18例)であった。その内1例でERCP後の死亡(死因不詳)がみられたが,他は経過良好であった。軽症にもかかわらず緊急ERCPが選択された6例22%の予後も問題なかった。待期群のうち軽症例は17例33%で,病態は悪化せず経過した。待期群中,本来なら速やかなドレナージが推奨される中等症以上の例は35例67%(重症5例,中等症30例)であった。その内,保存的加療中の重症化が1例みられたが,ERCPにて軽快した。その他の例は増悪せずERCPを施行できた。ドレナージ成功率は緊急群96.3%,待期群92.3%。総胆管結石例における初回ERCPでの完全截石率は緊急群45.9%,待期群46.2%。退院までのERCP回数は緊急群1.5回,待期群1.4回と治療成績に関して差はなかった。偶発症は緊急群でERCP直後の死亡が1例,ENBD自己抜去3例。待期群でERCP中の呼吸停止1例,膵炎5例,膵管穿孔1例,誤嚥性肺炎1例,ENBD自己抜去1例であった。【結論】当院では中等症以上でも待期的ERCPが多かったが,予後は良好だった。 |