セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胆道-治療2

タイトル 消P-482:

ERCP研修から見た偶発症とその予防

演者 白鳥 俊康(亀田総合病院・消化器内科)
共同演者 平田 信人(亀田総合病院・消化器内科), 中路 総(亀田総合病院・消化器内科)
抄録 【背景】画像診断の進歩により診断的ERCP件数は減少し,胆管カニュレーションを訓練する機会が減少した.しかし,治療的ERCP件数は増加し患者の背景因子も複雑化している.重篤な偶発症を起こさず安全性を担保した上でERCP研修を行うために当施設におけるこれまでの成績を検討した. 【方法】上部及び下部内視鏡検査が単独施行可能となった6名にERCP研修を6ヵ月間2名ずつ実施した.3ヵ月毎に前半と後半に分け,技術到達度はa胃内,b乳頭正面視,c造影,d深部挿管,e処置完遂に分けた.胆管深部挿管において正面視から深部挿管までの時間を計測した.偶発症に関しては挿管時間と処置後amyの比較も行った.【成績】個人ERCP件数中央値は124件(未処置乳頭件数中央値78.5件)であった.胆管深部挿管率中央値は45.2%,上半期では40.2%,下半期では47.6%であった.下半期では胆管造影率,処置完遂率も向上していた.研修生深部挿管成功例での平均挿管時間は181秒であった.3分以内挿管率61.3%,5分以内挿管率84.7%,7分以内挿管率88.7%であった.4時間後amy(基準値125以下)は3分以内群145,3-5分群174,5-7分群347,24時間後amyは3分以内群125,3-5分群132,5-7分群277であった.偶発症は膵炎が3.6%,挿入時の噴門部粘膜裂創1例,皮下気腫を伴う喉頭粘膜裂創1例認めた.【結論】安全なERCP研修を行うためには到達度を正確に把握しておくことが重要である.術者は手技に集中し時間経過が気にならなくなるため指導者が交代するタイミングを適切に判断することが重要であり,術者の様子,患者の状態を注意深く観察しておく必要がある.常日頃から後方斜視鏡に触れる機会の少ない研修生にとっては口腔内挿入から乳頭正面視までの内視鏡操作も困難なことも多く,内視鏡による粘膜損傷・穿孔等の偶発症のリスクがある.カニュレーションに関しては開始後5分を越えると挿管率の上昇はあまり認められないが術後amyは上昇傾向にあり平均時間,挿管率, amyの推移からは5分が交代のタイミングの一つであると考えられた.
索引用語 ERCP, 偶発症