セッション情報 パネルディスカッション4(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器がん検診学会合同)

膵癌早期発見に向けた取組み

タイトル 消PD4-9:

Stage0/I膵癌の臨床的特徴

演者 宮田 剛(近畿大・消化器内科)
共同演者 北野 雅之(近畿大・消化器内科), 工藤 正俊(近畿大・消化器内科)
抄録 【目的】膵癌は予後不良な癌腫であり、その予後向上のためには早期診断が重要である。【対象と方法】2001年3月から2011年11月までに当科にて診断した通常型膵癌584例を対象とし、その中でStage0/I症例(17例)とStage2以上の症例(567例)での臨床・検査所見の違いについて比較・検討を行った。腹痛、背部痛、黄疸、体重減少および糖尿病の悪化を有症状とした。各腫瘍マーカー(CEA、CA19-9、DUPAN-2、Span-1、)および膵酵素(AMY、Elastase-1)を測定し、いずれかが異常値を認めたものを陽性とした。またUS、造影CT(CE-CT)、超音波内視鏡(EUS)、および造影EUS(CH-EUS)による存在・質的診断能の比較を行った。【結果】USによるStage0/I膵癌の描出率は53%、Stage2以上では89%であった。Stage0/I症例では間接所見として主膵管拡張(47%; 8/17)、膵嚢胞(41%; 7/17)を認めた。腫瘍マーカーおよび膵酵素の上昇はStage0/I症例で59%、Stage2以上では86%に認めた。Stage0/I症例で35%、Stage2以上では74%が有症状であった。腫瘍描出率、腫瘍マーカーおよび膵酵素の上昇率、症状の陽性率ともにStage2以上で有意に高値であったが、Stage0/I症例においてもUSでの所見(間接所見を含む)、腫瘍マーカー及び膵酵素の上昇、有症状のいずれか一つは全例で陽性を示した。US、CT、EUSによる腫瘍描出率はStage0/I症例で53%、47%、94%であり、EUSで有意に高値であったが、Stage2以上では89%、91%、97%と各画像検査で有意差は認められなかった。血流による評価ではStage0/I症例でのCE-CTおよびCH-EUSの感度・特異度は65%・88%および88%・94%、Stage2以上では90%・83%および94%・88%と、Stage0/I症例においてCH-EUSはCE-CTと比べ質的診断能に優れていた。【結語】有症状、腫瘍マーカー高値、USにて所見がある場合にはStage0/I膵癌も念頭に置き、精査を行う必要がある。特にEUSはStage0/I膵癌の存在診断能に優れ、造影を加えることにより質的診断能が向上する検査であり、積極的に行うことが重要である。
索引用語 膵癌, 早期発見