セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胆道-治療3

タイトル 消P-490:

急性胆嚢炎に対する抗菌薬治療についての検討

演者 谷口 真理(庄原赤十字病院・内科)
共同演者 服部 宜裕(庄原赤十字病院・内科), 盛生 玲央奈(庄原赤十字病院・内科), 盛生 慶(庄原赤十字病院・内科), 舛田 裕道(庄原赤十字病院・内科), 福原 崇之(庄原赤十字病院・内科), 毛利 律生(庄原赤十字病院・内科), 山口 敏紀(庄原赤十字病院・内科), 沼田 義弘(庄原赤十字病院・内科), 鎌田 耕治(庄原赤十字病院・内科), 中島 浩一郎(庄原赤十字病院・内科), 西村 直之(自治医大附属病院・消化器・肝臓内科)
抄録 【目的】当院では以前より急性胆嚢炎治療において抗菌薬はSBT/CPZ(スルペラゾン)を第一選択薬として使用してきた(2006年JDDW)。しかし、緑膿菌に対してスペクトラムを有する抗菌薬を安易に使用すると多剤耐性緑膿菌による感染を誘発する可能性があるため、2008年4月より中等症以下の患者の初期治療では緑膿菌に対しスペクトラムを有しないCMZ(セフメタゾン)を第一選択薬としている。今回、当院での急性胆嚢炎治療におけるCMZの有用性についての検討を行った。【方法】2008年4月から2010年12月までに当院で経皮経肝胆嚢ドレナージ(PTGBD)または経皮経肝胆嚢穿刺(PTGBA)を施行して治療した急性胆嚢炎94例を対象に、胆汁より検出された起炎菌・使用した抗菌薬と菌の感受性、さらに治療成績について検討を行った。【成績】採取された胆汁中より明らかな起炎菌を認めた例は67例(71.3%)であった。複数の菌による混合感染は22例(23.4%)に認められた。検出された菌は大腸菌が最も多く(21.3%)、次いでKlebsiella族(18%)や腸球菌(8.5%)が多かったが、緑膿菌が検出された症例は1例もなかった。また、初期治療にCMZを使用したのは94例中68例(72.3%)であり、そのうち治療経過や感受性結果により抗菌薬の変更を必要としたのは18例(19.1%)であった。初期治療にCMZを使用した症例のうち明らかにCMZ耐性の菌が検出されたのは13例(19%)であったが、うち5例(7.3%)は抗菌薬を変更せずともPTGBDまたはPTGBAのみで改善した。【結論】CMZはほとんどの症例で有効であり初期治療の第一選択薬としては妥当と考えられた。感受性試験の結果CMZ耐性菌である場合には他の薬剤に変更することを考慮すべきであるが、CMZ耐性菌が検出されていてもドレナージや吸引術を行うことにより改善した例もあるので、積極的にそれらの処置を併用するべきと考えた。
索引用語 急性胆嚢炎, 抗菌薬