セッション情報 パネルディスカッション4(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器がん検診学会合同)

膵癌早期発見に向けた取組み

タイトル 消PD4-10:

pT1膵癌の臨床病理学的特徴 ‐膵癌早期発見に向けて‐

演者 石井 将太郎(仙台市医療センター仙台オープン病院・消化器内科)
共同演者 小林 剛(仙台市医療センター仙台オープン病院・消化器内科), 藤田 直孝(仙台市医療センター仙台オープン病院・消化器内科)
抄録 【目的】pT1膵癌の臨床病理学的な特徴から、早期診断につながる有用な所見を明らかにすること【対象・方法】1984年1月から2011年12月まで、当センターにて外科的切除を施行し、詳細な検討が可能であったpT1膵管癌13例とCIS1例を対象とした。男女比は10:4、平均年齢66±9.3歳、膵頭部5例、体部8例、尾部1例で、平均腫瘍径は13.4±3.6mmであった。組織型はtub1 10例、tub2 1例、pap 1例、asc 2例 であった。pT1群(CISを含む)における1)初発症状、発見契機、2)血液検査成績、3)各種画像による腫瘍描出率を検討し、次に、同期間に切除したpT2以上の膵管癌 100例を対照として、4)膵液細胞診陽性率、5)組織学的主膵管内進展、6)予後 につき検討した。主膵管進展は浸潤部の範囲を越えて主膵管内に進展がみられるものとし、規約上borderlineと表現される異型細胞の存在も主膵管進展に含めた。【結果】1)初発症状は腹痛、黄疸、心窩部不快感、背部重苦感がそれぞれ1例ずつみられ、無症状10例のうち4例が糖尿病の増悪、4例が他疾患の精査中、他の2例は検診の腹部USと、CA19-9の上昇により発見された。2)血液検査ではCA19-9が62%、CEAが23%、DUPAN2が66%で高値を示した。また、血清アミラーゼが23%、エラスターゼIは50%で高値を示した。3)腫瘤描出率は腹部US 64%、EUS 75%、CT 57%、MRI 27%であり、EUSが最も高かった。4)膵液細胞診陽性率は70%であり、pT2以上の膵管癌47%と比べ高い傾向であった。5)主膵管内進展率は79%と、pT2以上の25%と比較し高率であった(p=0.00017)。6)pT1膵癌の5年生存率は55%であった。【結論】pT1膵癌は無症状のものが多く、いかに検索機会を持つかが課題である。pT1膵癌はpT2以上の膵癌と比べ主膵管内への進展が高率であり、膵液採取、処理などの更なる工夫の上で積極的な膵液細胞診の導入が早期診断に有効と考えられた。
索引用語 膵臓癌, 早期診断