セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
胆道-症例報告1
|
タイトル |
消P-498:胆管癌術後補助化学療法後に発症した赤芽球癆の一例
|
演者 |
三関 哲矢(帯広第一病院) |
共同演者 |
菅田 英明(帯広第一病院), 中村 琢也(帯広第一病院), 青木 泰孝(帯広第一病院), 酒井 俊(帯広第一病院), 奥 隆臣(帯広第一病院) |
抄録 |
[目的]赤芽球癆(Pure red cell aplasia;PRCA)は、正球性正色素性貧血と網赤血球の著減および、骨髄赤芽球の著減を特徴とする症候群である。PRCAは稀な疾患で、わが国の特発性造血障害調査研究班の患者登録集計によると、1979年から1993年の15年間で後天性慢性PRCAは107例であり、同期間内の再生不良性貧血は1,602例であった。再生不良性貧血の年間罹病率は人口10万人に対し4.1人であることから、PRCAの年間罹病率は再生不良性貧血の7%、すなわち人口10万人に対し0.3人であると推定される。今回、我々は胆管癌の術後補助化学療法に用いた塩酸ゲムシタビンが原因と考えられるPRCAの一例を経験した。[結果]症例は73歳男性。本年2月に当院外科にて下部胆管癌に対して膵頭十二指腸切除術を施行された。術後補助化学療法として塩酸ゲムシタビンを4月27日より投与された。投与とともに貧血が進み、頻回の輸血を必要とした。その後塩酸ゲムシタビンを計5回施行したところで重度の貧血が出現し、塩酸ゲムシタビンの投与を中止した。術後であることから消化管出血も考慮し、上下部内視鏡検査を施行するも明らかな出血減の特定は不可能であった。その後も貧血の改善を認めず、当科を紹介された。骨髄検査上極度の赤芽球現象を認め、M/E比は403であった。以上よりPRCAと診断した。パルボB19は検出感度以下であり、塩酸ゲムシタビンの投与で貧血が進行することから、塩酸ゲムシタビンが原因と思われるPRCAと考えられた。[考察]PRCAはきわめてまれに見る頻度の疾患である。病型は先天性と後天性にわかれるが、後天性のPRCAの原因はさらに多岐にわたる。抗癌剤による続発性のPRCAも報告されている。今回、GEMが原因と思われるPRCAの一例を経験したが、検索した中では今までに報告がなく、きわめて貴重な症例と考えられた。 |
索引用語 |
胆管癌, 赤芽球癆 |