セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胆道-症例報告1

タイトル 消P-499:

胆嚢十二指腸瘻の治癒過程を観察した胆石イレウスの1例

演者 塩井 義裕(岩手県立江刺病院)
共同演者 川村 秀司(岩手県立江刺病院), 池田 亘政(岩手県立江刺病院), 野呂 明弘(岩手県立江刺病院), 小岡 文志(岩手県立江刺病院)
抄録 胆石イレウスは比較的まれな疾患で,胆嚢や胆管内の結石が内胆汁瘻を通して消化管内に落下して通過障害を起こすイレウスである.この結石は保存的治療で大腸に落下することもあるが,嵌頓する場合には外科的治療が必要である.胆石イレウスの術式には,1.結石摘出によるイレウス解除のみにする,2.胆嚢摘出と瘻孔閉鎖を一期的に行う,の方法がある.今回,我々は胆石イレウスの症例に対して前者の手術を選択したが,胆嚢十二指腸瘻は術後2週間で自然閉鎖し,術後経過は良好で合併症を認めなかった.胆石イレウスの胆嚢十二指腸瘻の閉鎖を観察した症例は少なく,文献的考察を含めて報告する.主訴:腹痛,腹満.現病歴:平成22年5月,腹痛を主訴に,当院受診.精査で胆石1個と総胆管結石2個を認め,ERCP/ESTを行い,総胆管結石2個排石した.本人が早期の退院を希望し,胆石も大きく胆管への落下の可能性も少ないと判断し,退院した.その2ヶ月後,腹痛と嘔吐で発症し,10日後に当院受診した.腹部所見では腹満を認め,右下腹部に圧痛あり,筋性防御はなし.CTで小腸に拡張および液体貯留を認め,回盲部から約6cmの回腸に石灰化のある直径3cm大の円形腫瘤がみられた。胆石は胆嚢内から消失し,胆嚢内部から十二指腸球部へgas像が連続してみられ、胆嚢十二指腸瘻が疑われた.以上から,胆石イレウスと診断し,入院となった.翌日,腹腔鏡補助下イレウス解除術を施行した.胆嚢周囲に高度の癒着がみられ,胆嚢摘出は行わず.回腸末端に胆石が嵌頓しており,臍下正中創を広げて回腸を引き出して切開し,胆石を摘出した.摘出した胆石は39×28mmで,結石分析ではコレステロール98%であった.術後1週間後の上部消化管内視鏡検査では十二指腸角前壁に5mmの瘻孔を認め,周囲の発赤腫脹あり.術後2週間後のERCPでは,胆嚢十二指腸瘻は自然閉鎖していた.術後,創感染があったが第19病日で退院し,4カ月後の現在,胆管合併症は認めていない.
索引用語 胆石イレウス, 胆嚢十二指腸瘻