セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胆道-症例報告1

タイトル 消P-502:

興味深いCT画像を呈した胆管内ガスを伴う急性気腫性胆嚢炎の1例

演者 結束 貴臣(平塚市民病院・消化器内科)
共同演者 小川 祐二(平塚市民病院・消化器内科), 柳沢 昇吾(平塚市民病院・消化器内科), 野中 敬(平塚市民病院・消化器内科), 斯波 忠彦(平塚市民病院・消化器内科), 坂口 隆(平塚市民病院・消化器内科), 厚川 和裕(平塚市民病院・消化器内科), 高橋 久雄(平塚市民病院・消化器内科), 小林 陽介(平塚市民病院・外科), 赤津 知孝(平塚市民病院・外科), 金井 歳雄(平塚市民病院・外科)
抄録 【はじめに】気腫性胆嚢炎はガス産生菌を起因とし胆嚢内に異常ガスを認める疾患である。今回、われわれは胆管内にまでガスを認め、胆嚢が完全にガス化され特徴的なCT画像を呈した急性気腫性胆嚢炎の1例を経験したので報告する。【症例】74歳、男性【既往歴】狭心症に対して冠動脈バイパス術、右下肢閉塞性動脈硬化症に対して大腿・膝窩動脈バイパス術。腹部大動脈瘤にてステントグラフト内挿術。【主訴】右季肋部痛【現病歴】労作時の胸部不快感の精査のため心臓血管撮影検査を施行した。検査翌朝、右季肋部に激しい疼痛を認めた。【現症】身長 166.0cm、体重 57.6kg、 脈拍 76回/分・整、血圧 120/40mmHg、体温 36.2℃、腹部:平坦、やや硬い、右季肋部に圧痛と筋性防御あり。【経過】腹部単純X線検査にて胆嚢に一致した異常ガス像を認めた。腹部CT検査では胆嚢内部に鏡面像を認め、胆嚢壁は全周性に気腫化し不明瞭となっていた。胆管内にガスを認めた。急性気腫性胆嚢炎の診断のもとCTガイド下に経皮経肝胆嚢ドレナージ(PTGBD)を施行した。胆汁培養にてClostridium perfringensが検出された。その後、待機的に開腹胆嚢摘出術を施行した。術中、Calot三角部の炎症が強く、胆嚢管の同定が困難だったため底部を切開し内腔を確認しながら胆嚢管を同定した。術後、経過良好で11日目に退院した。【考察】胆嚢管の閉塞が原因とされる通常の胆嚢炎に対して、本症例では胆石がなく、全身に多数の動脈硬化性疾患を有していたことから、胆嚢動脈の血行障害が原因となり、二次的にガス産生菌が感染することで急速に壊死した可能性が考えられた。急性気腫性胆嚢炎において、本症のように胆管内にまでガスが及ぶ症例は極めて稀であるが(文献上3-4%)、この場合胆道と消化管との間に交通がないことを確認する必要がある。
索引用語 気腫性胆嚢炎, PTGBD