セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胆道-症例報告1

タイトル 消P-503:

Invasive micropapillary variantを有する十二指腸乳頭部癌の1例

演者 榎澤 哲司(戸塚共立第1病院)
共同演者 福島 元彦(戸塚共立第1病院), 吉澤 太人(戸塚共立第1病院), 長山 裕之(戸塚共立第1病院)
抄録 症例は46歳の男性。2009年12月に発熱を主訴に来院。来院時の体温37.8度、血液検査にて白血球の上昇および膵胆道系酵素の上昇を認めたため精査となる。腹部造影CTでは、総胆管の拡張および主膵管の拡張を認めた。MRIでは、同様に胆道系と膵管の拡張を認め、Vater乳頭部の腫瘤が疑われた。腫瘤の精査および胆道ドレナージ目的にて内視鏡を施行した。十二指腸乳頭に露出腫瘤型の不整な腫瘤を認め、周囲の十二指腸粘膜には全周性6cmに拡がる白色の絨毛状粘膜病変を認めた。生検にてVater乳頭部から分化型および低分化な腺癌と十二指腸からは高分化型の腺癌が認められた。以上より十二指腸乳頭部癌(T3N0H0P0M(-))の術前診断にて膵頭十二指腸切除術・Child変法再建を施行した。組織学的所見では、十二指腸乳頭部の粘膜面には分化型腺癌、そして浸潤部には浸潤性微小乳頭構造(Invasive micropapillary variant:以下IMPV)の組織を主体に浸潤性増殖を呈し、膵実質へもわずかに浸潤していた。膵頭部周囲のリンパ節転移内にもIMPVの所見が認められた。十二指腸粘膜固有層には乳頭状~管状の分化型腺癌が進展していた。手術後TS-1(tegafur・gimeracil・oteracil)を内服中で、13ヶ月間明らかな再発転移所見は認めていない。組織学的に微小乳頭状構造を呈するIMPVないしはInvasive micropapillary carcinoma(IMPC)は、Pettinatoらに1993年に乳癌で報告されて以来、肺・唾液腺・胃・大腸・膀胱等で報告されている組織型である。IMPVは、リンパ管侵襲が目立ち、予後不良因子の一つの組織型として考えられ注目されている。IMPVを有する十二指腸乳頭部癌の報告はまれであり文献的考察を加え報告する。
索引用語 十二指腸乳頭部癌, Invasive micropapillary carcinoma