セッション情報 一般演題

タイトル O-092:

膵管癒合不全に合併したts1膵癌の一例

演者 藤澤 聡郎(横浜市立大学付属病院 消化器内科)
共同演者 窪田 賢輔(横浜市立大学付属病院 消化器内科), 冨本 彩子(横浜市立大学付属病院 消化器内科), 千葉 秀幸(平塚市民病院 消化器内科), 馬渡 弘典(横浜市立大学付属病院 消化器内科), 秋本 恵子(横浜市立大学付属病院 消化器内科), 米満 恭子(横浜市立大学付属病院 消化器内科), 秋山 智之(横浜市立大学付属病院 消化器内科), 藤田 浩司(横浜市立大学付属病院 消化器内科), 米田 正人(横浜市立大学付属病院 消化器内科), 高橋 宏和(横浜市立大学付属病院 消化器内科), 後藤 歩(横浜市立大学付属病院 消化器内科), 稲森 正彦(横浜市立大学付属病院 消化器内科), 阿部 泰伸(横浜市立大学付属病院 消化器内科), 桐越 博之(横浜市立大学付属病院 消化器内科), 斎藤 聡(横浜市立大学付属病院 消化器内科), 上野 規男(横浜市立大学付属病院 消化器内科), 中島 淳(横浜市立大学付属病院 消化器内科)
抄録 【はじめに】膵管癒合不全はわが国では1%以下とまれである。膵管癒合不全に合併した膵癌は背側膵管の流出障害に起因する慢性膵炎を基礎に発生するといわれている。今回われわれは膵管癒合不全に合併したts1膵癌を経験したので報告する。【症例】患者は72歳男性。2型糖尿病にて近医で5年間加療されていたが、3ヶ月前より徐々に血糖値が悪化してきたため精査目的にて当科紹介となった。腹部CT、MRCPにて膵体部から尾部にかけての膵管の拡張と膵頭部での急激な途絶を認めたが、明らかな腫瘤性病変は指摘できなかった。ERCPでは主乳頭からの造影にて馬尾状の膵管を認め、細かな分枝膵管を介して遅れてわずかに背側膵管が造影された。不完全型膵管癒合不全を疑い、副乳頭造影を施行した。拡張した背側膵管が膵頭部にて2cmに渡り途絶する像が認められたが、副乳頭からの造影剤の流出は良好であった。同時に施行した膵液細胞診はclass3であった。EUSにて膵頭部に径10mm大の低エコー腫瘤を認めたため、膵管癒合不全に合併した小膵癌と診断し膵頭十二指腸切除術を施行した。病理では主膵管に沿って15mmの範囲で上皮内癌が広がっており、そのうちの数箇所で2mm以下の膵実質への微小浸潤巣が見られた。背景膵に慢性膵炎の所見は乏しかった。【結語】膵管癒合不全に合併した膵癌の報告はまれであり、そのほとんどが進行癌で発見されている。本症例は極初期に発見され根治が期待できた。副乳頭、Santorini管が十分に発達しており膵液の流出障害を認めないため、膵管癒合不全に特徴的な背景膵の慢性膵炎が見られず興味深い症例と考えられた。
索引用語 膵管癒合不全, 膵癌