セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胆道-症例報告2

タイトル 消P-506:

PET検査偽陽性であった胆嚢良性疾患の3例

演者 黒川 勝(石川県立中央病院・消化器外科)
共同演者 松永 正(石川県立中央病院・消化器外科), 石山 泰寛(石川県立中央病院・消化器外科), 田代 聖子(石川県立中央病院・消化器外科), 山本 大輔(石川県立中央病院・消化器外科), 金子 真美(石川県立中央病院・消化器外科), 山本 道宏(石川県立中央病院・消化器外科), 小竹 優範(石川県立中央病院・消化器外科), 稲木 紀幸(石川県立中央病院・消化器外科), 伴登 宏行(石川県立中央病院・消化器外科), 山田 哲司(石川県立中央病院・消化器外科)
抄録 当院では2007年7月からPET検査が施行できるようになった.今までにPET検査偽陽性であった胆嚢良性疾患の3例を経験したので若干の文献的考察を含め報告する.症例1は50歳,男性.検診腹部超音波検査にて胆嚢腫瘍を指摘され当院受診となった.FDG-PET検査ではSUVmax 3.97と異常集積を認め,胆嚢癌が否定できないため手術(開腹胆嚢摘出術)を施行した.切除標本の病理結果は過形成性ポリープであった.症例2は76歳,女性.血痰および体重減少精査入院の際,腹部CT検査で胆石および胆嚢癌が疑われた.FDG-PET検査ではSUVmax 4.97と異常集積を認め,胆嚢癌が疑われ当科紹介となり手術(開腹胆嚢摘出術)を施行した.切除標本の病理結果は慢性胆嚢炎であった.症例3は51歳,男性.腹痛を主訴に前医受診.胆石胆嚢炎の診断と同時に胆嚢癌も疑われた.FDG-PET検査ではSUVmax 4.10と異常集積を認め,加療目的に当科紹介となった.当院で施行したFDG-PET検査では異常集積は消失していたがCT検査で癌が否定できなかったため,開腹胆嚢摘出術を施行した.切除標本の病理結果は腺筋症を伴った慢性胆嚢炎であった.当科では腹部超音波検査および腹部CT検査で胆嚢癌が疑われた症例にはFDG-PET検査を行うようにしている.胆嚢癌のPET検査の感度は75~100%,特異度は50~89%と報告されているが,炎症の併存で偽陽性になることがあり注意を要する.症例2はその典型例であるが,腹痛などの自覚症状に乏しかったことが術前診断を困難にさせた.症例3に関しては経過のFDG-PET検査で異常集積は消失したものの,腺筋症の併存が術前診断を困難にさせた.症例1の過形成性ポリープに関して偽陽性になった理由は不明である.過去の文献でも異常集積を呈す良性ポリープの報告はなく今後症例を重ねて検討したい.
索引用語 PET検査, 胆嚢