セッション情報 | 一般演題 |
---|---|
タイトル | O-025:十二指腸球部ガストリノーマの一例 |
演者 | 高山 敬子(東京女子医科大学 消化器内科) |
共同演者 | 前出 幸子(東京女子医科大学 消化器内科), 鈴木 亜夢(東京女子医科大学 消化器内科), 清水 京子(東京女子医科大学 消化器内科), 白鳥 敬子(東京女子医科大学 消化器内科), 羽鳥 隆(東京女子医科大学 消化器外科) |
抄録 | 患者は45歳男性。主訴は下痢、嘔吐、腹痛。家族歴・既往歴に特記事項なし。2001年より上記症状のため近医に入退院を繰り返していた。2005年7月、血清ガストリンが2010 pg/mlと高値であったため、ガストリノーマを疑い当科を紹介受診。上部消化管内視鏡で多発性の胃潰瘍を認めた。US・造影CT・MRIでは膵に内分泌腫瘍を疑う腫瘍性病変は認めなかった。2006年1月、イレウスとなり近医に入院。イレウス管から血性の排液を認めたため、上部消化管出血を疑い内視鏡を行ったところ、十二指腸下行脚に多発性出血性潰瘍を認め、再度ガストリノーマの精査目的で当科入院となった。プロトンポンプ阻害剤を中止後の空腹時血清ガストリンは830 pg/mlと高値で、カルシウム静注負荷では有意な上昇は無かったが負荷前後とも高値を示し、ガストリノーマと診断した。造影CTでは膵に異常は無かったが、十二指腸球部に早期相で濃染する径10 mmの腫瘍性病変を認めた。EUSで同部位に径9.5mmの粘膜下層を主座とする低エコー腫瘤を認めたため、再度内視鏡を行い十二指腸球部を反転観察したところ、幽門輪直下の大弯前壁に中心陥凹を有する扁平なSMTを確認した。生検では比較的小型の細胞の索状・リボン状の増生を認め、gastrin陽性であった。選択的経動脈内カルシウム注入検査で、GDA本幹遠位部および総肝動脈からの注入で血清ガストリンの著明な上昇を認め、十二指腸球部のガストリノーマと診断した。副甲状腺・下垂体は異常無かった。十二指腸部分切除術を施行し、標本割面では径9 mmの白色・境界明瞭で弾性硬な腫瘤を認め、病理学的には粘膜から粘膜下にかけて索状・リボン状の配列をとりglimerius、chromogranine A、NSE、gastrinとも陽性で、ガストリノーマと診断した。神経・血管浸潤などの悪性所見は認めなかった。血清ガストリンは術後100 pg/mlまで減少し、単発性であったと考えられた。その後転移や再発による血清ガストリンの再上昇や消化性潰瘍・下痢などは認めていない。 |
索引用語 | ガストリノーマ, 消化性潰瘍 |