セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胆道-症例報告2

タイトル 消P-510:

非手術療法で長期生存が得られた肝門部胆管癌の2例

演者 藤島 裕耕(山本組合総合病院・消化器科)
共同演者 鳥谷 洋右(山本組合総合病院・消化器科), 高橋 裕也(山本組合総合病院・消化器科), 富田 一光(山本組合総合病院・消化器科), 佐藤 邦彦(山本組合総合病院・消化器科)
抄録 胆道癌は胆管炎や肝機能障害を契機に診断し手術、化学療法などで加療される。しかし根治可能な手術を選択できる症例は少なく手術例でも予後不良である。化学療法も同様に根治が難しく生存期間延長のために個別化治療が工夫されているが有効な治療法は明らかではない。このたび肝門部胆管癌を化学療法と放射線療法の併用で長期生存が得られた症例を経験したので報告する。本報告での長期生存は2年以上とした(症例1)77才 女性。人間ドックの肝機能障害指摘を機に肝門部胆管癌(Bismuth3)の診断。明らかな転移を認めず(病期1B~2B)手術を考慮するも御本人家族希望されず化学放射線治療を行う。放射線(体外照射:前後対向2門)総量61Gy、化学療法:GEM1000mg 3週間連続投与2週間休薬で開始。38クール施行(40カ月)後GEM800mg隔週(22クール12カ月)に変更。50カ月総合効果SD。観察期間計54カ月終了(症例2)56才 女性。倦怠感の自覚と黄染で来院。肝門部胆管癌(Bismuth2)固有肝動脈浸潤、リンパ節転移で手術不可の診断(病期3)放射線(体外照射前後対向2門)総量59Gy、化学療法:GEM1200mg 3週間連続投与2週間休薬で開始(10クール12カ月)後GEM800mg 2週間連続投与2週間休薬(22クール約18カ月)施行。開始18ヶ月目で肺転移出現。観察期間計29カ月終了(まとめ)非手術胆道癌の化学療法は生存期間が延長しQOLが改善するが予後は悪い。放射線治療に関しては体外照射と腔内照射併用で良好な成績の報告があるが一般的ではない。今回体外照射のみの放射線を併用したところ化学療法報告例との比較では生存期間の上乗せが得られた(化学療法の生存期間中央値7.7カ月)また胆道ステントトラブルなど大きな合併症も経験しなかった。GEM投与量、投与間隔の調節で中断することなく長期間投与できたことも生存期間延長に関与したと考えられる。今後体外照射のみの化学放射線併用療法は胆管癌の選択肢の一つになりうる可能性があり、薬物投与量、至適放射線照射量など検討が必要である
索引用語 胆道癌, 放射線治療