セッション情報 一般演題

タイトル O-068:

慢性C型肝炎による肝細胞癌に、大腸癌を併発した一例

演者 曽 絵里子(東京逓信病院 消化器科)
共同演者 大淵  麻衣子(東京逓信病院 消化器科), 大久保 政雄(東京逓信病院 消化器科), 高倉 裕一(東京逓信病院 消化器科), 小林 克也(東京逓信病院 消化器科), 関川 憲一郎(東京逓信病院 消化器科), 松川 雅也(東京逓信病院 消化器科), 松浦 広(東京逓信病院 消化器科), 橋本 直明(東京逓信病院 消化器科), 鈴木 丈夫(東京逓信病院 放射線科), 是永 建雄(東京逓信病院 放射線科), 岸田 由起子(東京逓信病院 病理科), 山崎 一人(東京逓信病院 病理科), 薬丸 洋一(東京逓信病院 病理科), 山本 哲久(東京逓信病院 外科), 関川 敬義(東京逓信病院 外科)
抄録 症例は59歳男性。1965年、事故による脾破裂のため脾臓摘出術受け、その際、輸血歴あり。1993年、他院で肝障害を指摘され、慢性B型肝炎、C型肝炎の診断で超音波(US)、CTでフォローされていた。2003年、肝S5/8に占拠性病変(SOL)を認め当院受診、精査加療目的で入院となった。入院時HBs抗原陽性、HBs抗体陰性、HBe抗原陰性、HBe抗体陽性、HBc抗体強陽性とseroconversion後のB型肝炎キャリアと診断。HCV抗体陽性、HCV-RNA 150 KIU/ml(serogroup 1)から輸血によるC型肝炎感染が考えられた。肝機能はChild-Pugh A、ICG(15分)は13.5%。S5/8の径20mm大のSOLは、造影CT早期相で増強され、後期相でdefectとなり、肝細胞癌と診断。酢酸注入療法(PAIT)を施行した。その後もUS、CTでフォローしたところ、2005年3月、PAIT施行部位のリピオドール集積部周辺に、造影CT後期相でdefect認め、ラジオ波施行となった。さらに同年12月、S2/3に径15~20mmの造影CT後期相でのdefect認め、ラジオ波施行となった。2006年4月、趣味の登山の際、倦怠感で登山できず、外来受診し、Hb 8.0 mg/dlの貧血を指摘された。便ヒトヘモグロビン検査と便潜血検査陽性であり、上部・下部消化管内視鏡(GF・CF)を施行。GFでは萎縮性胃炎のみだが、CFにてS状結腸にtype 3病変を認め、生検の結果、高~中分化管状腺癌の診断。検査の結果、肝転移・その他の転移性病変は否定的だった。当院外科でS状結腸切除術施行し、経過良好である。以上、本例は、肝細胞癌の治療経過中に第二癌として大腸癌を併発した重複癌症例と考えられた。肝細胞癌の予後の改善に伴って、重複癌の発症に留意することは臨床的に意義のあることと考えられ、報告する。
索引用語 肝細胞癌, 重複癌