共同演者 |
伊地知 秀明(東京大・消化器内科), 宮林 弘至(東京大・消化器内科), 毛利 大(東京大・消化器内科), 浅岡 良成(東京大・消化器内科), 磯村 好洋(東京大・消化器内科), 池上 恒雄(東京大医科学研究所), 黒澤 浄(千葉大附属病院・消化器内科), 齊藤 将喜(千葉大附属病院・消化器内科), 杉山 晴俊(千葉大附属病院・消化器内科), 太和田 勝之(千葉大附属病院・消化器内科), 酒井 裕司(千葉大附属病院・消化器内科), 三方 林太郎(千葉大附属病院・消化器内科), 石原 武(千葉大附属病院・消化器内科), 露口 利夫(千葉大附属病院・消化器内科), 金井 文彦(千葉大附属病院・消化器内科), 今関 文夫(千葉大附属病院・消化器内科), H. Moses(バンダービルト大), 小俣 政男(山梨県立中央病院), 横須賀 收(千葉大附属病院・消化器内科) |
抄録 |
(目的)ヒト膵癌をよく模倣した遺伝子改変内因性膵発癌マウスモデルを用い、膵癌の新規治療法の探索を行った。(方法) マウスモデルとしてPtf1acre/+; LSL-KrasG12D/+;Tgfbr2flox/floxを使用した。このマウスでは分化型膵腺管癌が100%に生じ、黄疸、血性腹水、体重減少を呈し、約8週で癌死する。これに分子標的薬としてAxitinib(以下A), Sunitinib(以下S)、また、血管新生阻害作用をもつとされる5種類のアンギオテンシン2受容体拮抗薬(ARB)(candesartan(以下C), telmisartan(以下T), losartan, valsartan, およびolmesartan)の単剤投与を行った。またA, C, Tに関してはGemicitabineとの併用投与も行った。20%の体重減少がみられた時点で犠死させ、抗腫瘍効果、生存期間の検討をおこない、Caspase 3, Ki67, CD31, VEGFの免疫染色を行った。線維化の評価をAzan染色で行った。(結果)生存期間(中央値)はA群、S群、C群、T群有意に延長していた。また、Gemcitabineを併用したA群、C群およびT群はA単独群、C単独群、T単独群、Gemcitabine単独群に比べ、生存期間が有意に延長していた。摘出した腫瘍の解析ではA群、S群、C群、T群で有意に腫瘍体積の縮小がみられた。A群、S群ではControlに比べCaspase3の染色性が有意に高く、Ki67は有意に低かった。微小血管密度はA群、S群、C群、T群でControlや他のARBに比し、有意に低下していた。VEGFはC群、T群でControlや他のARBに比し、有意に染色性が低下していた。また、C群、T群ではControl群に比べ有意に腫瘍内線維化の低下がみられた。(結語)Gemcitabineを併用した新規Multikinase inhibitorやARBを用いた血管新生を標的とした治療法は膵癌の新規治療法となりうる。 |