セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓-基礎1

タイトル 消P-513:

膵臓癌における活性化NF-κBと予後との相関に関する基礎的検討

演者 古川 賢英(東京慈恵会医大・外科DELIMITER東京慈恵会医大総合医科学研究センター・DNA医学研究所・遺伝子治療研究部)
共同演者 宇和川 匡(東京慈恵会医大・外科), 岩瀬 亮太(東京慈恵会医大・外科DELIMITER東京慈恵会医大総合医科学研究センター・DNA医学研究所・遺伝子治療研究部), 春木 孝一郎(東京慈恵会医大・外科DELIMITER東京慈恵会医大総合医科学研究センター・DNA医学研究所・遺伝子治療研究部), 藤原 佑樹(東京慈恵会医大・外科DELIMITER東京慈恵会医大総合医科学研究センター・DNA医学研究所・遺伝子治療研究部), 飯田 智憲(東京慈恵会医大・外科), 柴 浩明(東京慈恵会医大・外科), 三澤 健之(東京慈恵会医大・外科), 大橋 十也(東京慈恵会医大総合医科学研究センター・DNA医学研究所・遺伝子治療研究部), 矢永 勝彦(東京慈恵会医大・外科)
抄録 <目的>膵臓癌は外科的切除が唯一の根治的治療となりうるが、多くの場合、切除不能症例であり、依然としてその予後は不良であるため、予後因子について検討が必要である。近年、anti-apoptoticな働きを有する転写因子であるnuclear factor κB (NF-κB)が種々の悪性腫瘍において活性化され、腫瘍の増殖、浸潤、転移、抗癌剤耐性などに関与していると報告されている。しかし、膵臓癌における活性化NF-κBの役割は十分には明らかになっていない。今回、膵臓癌における活性化NF-κBと予後との相関に関する基礎的検討をしたので報告する。<方法>ヒト膵臓癌細胞株(AsPC-1、BxPC-3、Capan-2、MIAPaCa-2、Panc-1、PL45)の活性化NF-κBを定量化し、NF-κB活性が最も高い細胞株と最も低い細胞株を決定する。In vitroにて両細胞株のIL-8、VEGFをELISA、MMPをZymogrphy、浸潤能をinvasion assayにて評価した。In vivoにて両細胞株をヌードマウスの背部に皮下注し、腫瘍径の経時的変化、生存期間を評価した。<成績>In vitroでは、NF-κB活性が最も高いBxPC-3は、NF-κB活性が最も低いAsPC-1と比較して、IL-8、VEGF、MMP-9の発現、浸潤能が有意に高かった(p<0.01)。In vivoでは、BxPC-3群はAsPC-1群と比較して有意に腫瘍の成長増大を認め(p<0.0001)、生存期間が短かった(p=0.0339)。<結論> ヒト膵臓癌細胞株において、NF-κB活性は腫瘍の増大と予後との間に相関を認め、予後予測因子の一つになりうると考えられた。
索引用語 膵臓癌, NF-κB