セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)膵臓-基礎1 |
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タイトル | 消P-515:膵癌におけるタイト結合分子Claudin-18のPKC経路およびDNAメチル化を介した発現調節機構 |
演者 | 伊東 竜哉(札幌医大・1外科) |
共同演者 | 及能 大輔(札幌医大・1外科DELIMITER札幌医大・2病理学), 山口 洋志(札幌医大・1外科), 小島 隆(札幌医大・2病理学), 目黒 誠(札幌医大・1外科), 今村 将史(札幌医大・1外科), 木村 康利(札幌医大・1外科), 高澤 啓(札幌医大・2病理学), 村田 雅樹(札幌医大・2病理学), 澤田 典均(札幌医大・2病理学), 平田 公一(札幌医大・1外科) |
抄録 | 【目的】膵癌はいまだ予後不良な疾患であり、新規治療法の開発が急務とされる。一方、細胞間接着装置タイト結合の構成分子Claudin(CL)は、さまざまな癌において発現異常を生じることが報告されている。近年、膵癌においてCL-18が高発現することが報告され、分子マーカーや治療標的分子の候補として期待されている。しかし、膵癌および正常膵管におけるCL-18の発現調節機構はいまだ不明である。そこで我々は、膵におけるCL-18の発現調節機構を解明し、その臨床応用の一助とするべく研究をおこなった。【方法】膵癌細胞株PANC-1、HPAF-II、BxPC3、HPACの4種および正常ヒト膵管細胞モデル細胞hTERT-HPDEに対し、PKC作動薬であるTPAを作用させ、CL-18の発現変化を観察した。また、DNAメチル化阻害薬投与に伴う、CL-18遺伝子DNA脱メチル化とCL-18発現量の関係・TPA作用の変化についても検討した。【結果】膵癌細胞株4腫は、TPA処置により、TPA濃度依存的にCL-18の著しい発現上昇が認められた。またこの反応は、PKC阻害薬により抑制された。一方hTERT-HPDEにおいても、TPA処置に伴うCL-18の発現増強と、PKC阻害剤によるCL-18発現増強の抑制を同様に認めた。CL-18発現増強に関わるPKCisoformについて各種阻害剤を用いて検討したところ、HPAF-IIおよびHPACでは、PKCα/δ/εが関与していたが、hTERT-HPDEではPKCα/δ/θが関与していた。また、CL-18発現増強とCL-18DNAメチル化との関係を検討したところ、CL-18DNAの脱メチル化により、分化度の低い癌細胞株ほどCL-18発現増強を認めた。【結論】膵癌細胞株およびヒト正常膵管モデルを用いて、PKC刺激によるCL-18の発現誘導に成功した。またこれら反応に関与するPKCisoformやCL-18DNAメチル化状態には、膵癌と正常膵管とで差異が見られることも分かった。この結果により今後さらにCL-18分子をターゲットとした研究が進むことが期待される。 |
索引用語 | 膵癌, タイト結合 |